エディタ篇 2


 
Wz Editor
Boon Editor2
MMエディタ
秀丸エディタ


WZ

WZ Editor

ヴィレッジセンター
Version 3.0
パッケージソフト
9,800円
2.5Mbytes

 初期の体験版に失望して以来、ずっとノーチェックできたのですが、Wzも ver3.0になり、評判もいいようなので、製品版を購入しました。

 インストール時に「Vz風」「Mifes風」「Emacs風」「Windows風」が選べるので、「Mifes風」を指定したところ、Dos版風にカスタマイズしたWindows版Mifesそっくりになりました。

 Vzの場合、「Mifes風」カスタマイズを指定すると、Vzの便利機能(F7だけでカーソル行が消せる機能、範囲指定の文字列単位・行単位の自動判別機能など)を残したまま、Mifes風になりました。機能のアレンジの仕方が実にうまく、「Mifes風」Vzのファンになって今にいたっているわけですが、Wzの「Mifes風」は杓子定規にMifesをまねていて、これだったら本物のMifesを使った方がいいと思いました。このあたりは自分でカスタマイズすれば、Vz風「Mifes」に近づけることができるのでしょうが、アレンジという微妙な話は技術というより感性の問題で、Vzは性能もさることながら、作者の感性がすぐれていたのだなと再確認しました。

横二段組

 Wzは縦書ができるのですが、おもしろい機能がついています。出荷時の状態では「20字×20行」という400字詰原稿用紙を真似た画面になりますが、20字詰の体裁を保ったまま、横二段組にするモードがあるのです。

 横長の画面では、縦書時は20字詰程度にせざるをえませんが、できるだけ広い範囲を一覧するには、横書時は横幅を目いっぱい使った38字詰くらいにしたいのです。しかし、字詰をかえると文章の体裁が変わってしまい、行頭にあった言葉が行末に移ったりして、目当ての箇所を探すのが大変です。横二段組の字詰縦一段時と同じに指定することで、行の体裁を維持したまま、横幅をフルにいかした広い範囲の一覧ができます。行間はドット単位で指定でき、テスト画面があるので、リアルタイムで新しい設定を確認できます。

 原稿用紙を意識した機能としては、ページめくりモードがあります。カーソルが最後の行までいくと、スクロールせずに次の20行にきりかわるもので、原稿用紙をめくる動作をまねたものです。しかし、実際に使ってみると、目が疲れるし、カット&ペーストもやりにくく(カーソルは次のページでも最下行にくるので、ページ全体が選択されてしまいます)、実用に耐えません。原稿用紙とエディタは別物なのだから、こういう馬鹿げた機能はやめてほしいですね。

 Wzは素のテキスト、文字装飾や図の貼りこめるWz文書、HTML文書という三種類のファイルを編集することができます。Wz文書は独自形式ファイルで、Wz以外のエディタでは編集できません。早い話が簡易ワープロ文書です。HTML文書の場合、縦書や横二段ができないのはしょうがないとしても、「太字」や「斜体字」を指定すると、HTMLタグがはいります。どうせならWz文書を独自形式ファイルにせず、HTML互換にし、タグで文字装飾してほしかったと思います。独自形式ファイルのエディタは邪道です。

 おもしろい点もあるのですが、動作はエディタを名乗るにしては全体に重く、Vzの軽さ、なめらかさとは程遠いものがあります。使い心地という点では Vzはもちろん、QXにもおよびません。Vzとは別物だということを再確認しました。




Boon

Boon Editor

エーアイソフト
Version 2.0
パッケージソフト
9,800円
7Mbytes

 WXで有名なエーアイ・ソフトのエディタです。このところ、Wzのように文字装飾機能や図の貼りこみ機能など、出力方面に注力して、ワープロ化していくエディタが多いですが、Boonエディタは「文書校正」機能(日本語文法チェッカー)と「アウトライン」機能を標準でつけるなど、入力方面での機能充実を売物にしています。こうした機能をマクロでもっているエディタはすでにありますが、標準でもっているのは Boonがはじめてでしょう。

縦カーソル

 縦書機能もありますが、動作はQX同様、軽快です。行間がドット単位で指定できますが、Wzのようなテスト画面はありません。QX同様、縦書は実用レベルにあります。おもしろいのは、縦書時のカーソルが縦線になることです。QXにしても、Wzにしても、縦書時のカーソルは文字と文字の間に横線で表示され、慣れないうちは異和感があるものですが、このソフトは当該文字の左横に縦線で表示されるので、自然な印象があります(右図の場合、「ご褒美」の「ご」がカーソル位置)。

 「文書校正」機能は最近の日本語ワープロについているものと似たり寄ったりで、チェック項目をカスタマイズできるほか、漢字頻度やカタカナ頻度、文の長さ等の統計が出ます。ただ、決して使いやすいとはいえず、特に単語登録の操作があきれるほど煩雑で、現状のままでは使い物になりません。単語の一括登録機能もつけるべきです。

アウトライン画面

 もう一つの売物の「アウトライン」機能も感心しません。行頭に「▽」がついているとパラグラフ全部が表示され、クリックして「▼」にすると見出しだけになるという、Acta風のインターフェースですが、Actaと違って「▽」ないし「▼」の操作ででレベルの上げ下げができないのです。また、パラグラフが選択状態だとレベルが上げ下げできないとか、上げるためのキー操作が Alt+Shift+Insertという直感的にわかりにくいキー割当になっているとか、作った人間のセンスを疑います。キーバインドは、いくらでもカスタマイズ可能ですが、基本設計は動かせません。中途半端な独自性など出さず、Actaそっくりにすればよかったのにと思います。

 現状では売物の二大機能は実用になりませんし、なまじ標準で組みこまれているために、マクロだけバージョンアップという具合にもいきません。しかし、エディタとしての基本性能はなかなかのものなので、悪い製品ではないと思います。入力方面を充実させるというコンセプトはおもしろいので、将来のバージョンアップに期待したいところです。




MM

MMエディタ

宮崎嘉明
Version 3.9
シェアウェア
4,000円
Mbytes

 原稿用紙の升目が表示できるという困ったエディタです(笑)。勘違いしているというか、なんというか、エディトリアルにも書きましたが、素人さんはどうしてこう原稿用紙に憧れてしまうんでしょうか。横書き時には便箋の罫線が表示されます。

 枡目の表示というめんどくさいことをやっている割りには、動作はなめらかで、QXをしのぐかもしれません。表示色の設定で枡目を消してみると(左下参照)、ほら、こんなすっきりした画面になりました。

枡目なし

 原稿用紙崇拝という一点を除けば、ひじょうによく出来たエディタで、動作もきびきびしていますし、使用感もなめらかです。横書時と縦書時で、行間(ドット単位設定)と字詰を別々に設定できるのもありがたいです。

 特筆すべきは、カスタマイズとマクロの組込が QXより簡単なことです。これだと、他人に勧めやすいですね。

 歴史が浅いので、マクロの数は比較的すくないですが、Mifes風Vzそっくりにするマクロ集があります。本当にそっくりになって、思わずうなりました。QXに強力なライバル出現というところでしょうか。




秀丸

秀丸エディタ

斉藤秀夫
Version
シェアウェア
4,000円
Mbytes

 Windowsエディタの草分けで、もっともたくさんインストールされているエディタかもしれません。雑誌の紹介でも、取り上げられることが一番多いでしょう。

 Windowsを使いはじめた時、ぼくも秀丸をインストールしましたが(当時は他になかったのです)、原稿書きには向かないので、すぐに削除し、Dos窓を開いて Vzにもどってしまいました。

 なぜかというと、行間に空きがなく、目がちかちかしてきたからです。

 もう一つ、気になったのは、全置換を選ぶと、カーソル以降が置換されるのではなく、文書の最初からすべて置換されてしまうことです。

 プログラムを書く場合は、すべての語が置換されないと具合が悪いのでしょうが、物書きが文章を書く場合は、この箇所から後ろだけ別の語に置き換えようという操作が多いです。秀丸の場合、選択範囲だけに置換をかける使い方が推奨されているそうですが(Vzにこの機能があるので、ぼくもよく使いますが)、なにも指定しないと頭からすべて置換されてしまうというのはどうでしょうね。

 五年ぶりに秀丸をインストールしてみました。記憶にあるのと変わりませんでした。強いて違いをあげれば、インストール時に「Vz風」カスタマイズを選べるようになっていたことくらいでしょう。

 また、はえ男氏の「作家用マクロ集」が公開されていたので、組みこんでみました。このマクロ集には「原稿枚数換算」、「アウトライン」、「用紙指定」、「自動折込み」などのマクロがはいっていて、作家向けというより、プログラマー以外の人向けの便利機能を集めたという印象です。

 動作はとても軽快ですが、縦書モードがないのはマイナス要因です。プログラマの間では人気があるようですが、物書きには向かないと思います。

訂正 第一稿では「行間を広げられないので目がちかちかする」、また全置換をかけるとテキスト内の語がすべて置換されるので、文章書きには困る」と書きましたが、これは勘違いでした。
 まず、行間ですが、「設定」→「詳細」→「行間」でできました。
 置換ですが、秀丸の場合、カーソル以降の置換ができない代わりに、まず範囲指定して、その内部だけで置換する使い方が推奨されているそうです。設計思想の違いなのでしょうが、Mifes、Vz、最近は QXとカーソル以降置換のエディタばかり使ってきたので、戸惑いますね。
 五年前にちょっと使ったという頭があったので、今回は一日使っただけで感想を書いてしまいました。ご迷惑をかけた関係者にお詫びします。(May25 1998)



試用環境は「うちのパソコン」をご覧ください。



Copyright 1998 Kato Koiti
This page was created on May24 1998; Last updated on May25 1998.



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