「歴史の文字 ──記載・活字・活版」展


安政年間の銅活字      

 このほどオープンした東京大学総合研究博物館で、開館記念特別展示として、「歴史の文字──記載・活字・活版」展が1996年9月10日から10月13日まで開かれた。

 最初に十字屋版『宮沢賢治全集』の一部を例に、活字、紙型、鉛版、刷り上がりと、活版技術を行程順に紹介した後、土器に書かれた文字、銘文つき鉄剣(レプリカ)、木簡、巻物になった仏典、平家物語の写本、木活字とその印影、銅活字ときて、伊能忠敬の日本全図、明治の荷札と東大所蔵の資料がならべられ、文字と日本人の二千年近い係わりが一望できる密度の濃い展示だった。


木活字で印刷された日記

 最後の部屋には町の印刷所が再現され、活字箱や植字台、原図をトレースして銅板に彫りこむパンタグラフ、活字鋳造機活版印刷機、の実物が展示されていた。実際につかわれたことのある活字や機械類だけに、かすかにインクの匂いがただよい、ビデオからとどろくダッダッダッと印刷機の音とあいまって、今、消えようとしている活版印刷の世界を現出していた。

      活字箱
パンタグラフ   

    植字台

Copyright 1996 Kato Koiti



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