エリザベス・ハーレー目当てで買ったが、意外な拾い物だった。公開時は「トゥルーマン・ショー」の二番煎じのようなあつかいだったが、まったく別種類の映画である。
「トゥルーマン・ショー」は一人の人間を生まれてからからずっと騙しつづけたことになっていて、そのために都市まで作ってしまうというディック的な設定だが、こちらは業績不振のケーブルTVが素人の日常を映すという安あがりな起死回生策に走る話で、筒井康隆の「俺にかんする噂」に近い。「ディープ・インパクト」と「アルマゲドン」以上に違うが、好みからいうと「トゥルーマン・ショー」よりも好きである。
主人公のうだつのあがらないビデオ屋の店員、エドをマシュー・マコノヒーにしたのが成功している。マコノヒーは二枚目の正義漢役でブレイクしたが、テキサス訛の純朴なあんちゃんという面があり、この映画ではノーベル田中さん的な魅力をふりまいている。
兄のウディ・ハレルソン、義父のマーチン・ランドー、実父のデニス・ホッパー、TV会社社長のロブ・ライナーと有名どころで脇をかためている。恋人シェリ役のエルフマンと、プロデューサー役のデジェネシスはTVで有名な女優だそうだが、いい味を出している。
エリザベス・ハーレーはシェリが視聴者に人気がないので、TV局が用意したエドの新しい恋人として登場。メイキングでは、野心的な悪女か、本当にエドを愛しているのか、どちらともとれるように演じたと答えているが、どこをどう見たら本当に愛しているように見えるのか。
メイキングは30分ほどだが、なかなかいい。未公開シーンは50分近くあるが、説明的なカットとシリアスになりすぎたカットがほとんどで、削って正解だった。シェリが視聴者のバッシングを受けて傷つくシーンだけは一つぐらい残しておいてもよかったような気がする。猫をつぶされたハーレーがウソ泣きしながら記者会見をするシーンも惜しい。
ライバルが放映する二番煎じ番組の話が痕跡も残さず、ばっさり切られている。もったいないと思ったが、ラストになるはずの場面(エドの周囲をうろついていた男が、ライバル番組の主役を刺したというニュースが流れる)を見て納得した。