『砂の女』

加藤弘一
*[02* 製作年<] 1964
*[03* 監 督<] 勅使河原宏
*[03* 原 作<] 安部公房
*[04* 出 演<] 岸田今日子
*[04*    <] 岡田英次
*[05* 製 作<] Asmik
*[05* 地 域<] R2、NTSC
*[06  枚 数<] 片面2層×1
*[06  時 間<] 124+147分
*[06* 音 声<] 日本語モノ
*[06* 字 幕<] 日本語、英語
*[06* 画 面<] 4:3
*[07  特 典<] オリジナル版、予告編、スチール写真、撮影風景
*[08* 作 品<]☆☆☆☆☆
*[08* 特 典<]☆☆
*[08* 画 質<]☆☆
*[08* 音 質<]☆☆

 うっかりしていたが、『砂の女』には封切時の147分版とカンヌ映画祭出品時に短縮した122分版の二つがあった。カンヌ以降、勅使河原監督は122分版を正式版としたので、147分版は上映されなかったという。

 このDVDが「特別版」と銘打たれているのは幻の147分版を併録しているからである(画質は122分版と変わりない)。予告編はフィルムの傷が目立ったが、本篇はニュー・マスターということで良質である。ただし、夜の砂丘を逃げるシーンなどはブロックノイズが激しい。

 久しぶりに濃厚な世界を堪能した。若い頃の岸田今日子(市川実和子に似ているような……)の隠花植物的な魅力は今でも圧倒的だ。脚本も安部公房自身が担当したが、原作の文章が脳裏にフラッシュバックするほど忠実でいながら、まぎれもなく映画になっている。安部公房の小説はもともと映像的だったのだ。

 安部公房の傑作をDVD化してくれたのはありがたいが、画面を4:3のTVサイズにトリミングしたのはいかがなものか。オリジナル・サイズで見たければ、『勅使河原宏の世界』を買えということか。

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