未見だと思っていたが、冒頭の列車の場面で見たことがあると気がついた。そもそも、監督、出演者の顔ぶれからいって、見ていないはずはなかったのだが。話は適度に忘れていて、また楽しむことができた。
ナスターシャ・キンスキーの演じるジュリエットは蓮っ葉な美容師見習で、医学部の老教授、ラウール(ピコリ)の囲い者になるが、弟子の若い医師クレマン(オングラード)に一目惚れしてしまう。二人は駆落ち同然にボルドーを出て、山奥の村でままごとのような暮しをはじめるが、医師としての野心を捨てきれないクレマンの姿を見て、ジュリエットはラウールの元にもどる。すべてうまくいくかに見えたが……。
若い愛人にメロメロになるラウールのミシェル・ピコリが切ない。老人の嫌な面だけでなく、純な面も見せる。オングラードのクレマンは「ベティ・ブルー」のゾーグと重なる部分がある。奔放な女に振りまわされるという役どころを演じさせたら、この人の右に出るものはいない。しかし、なんといっても、ナスターシャ・キンスキーがいい。
画質は、ハピネット(元のビーム)にしてはひどくない。音質はモノラルだが、ダイナミック・レンジが比較的広く感じられ、不自然ではない。特典はまったくない。