ブラッドベリの名作、『華氏四五一度』(リメイクが進行中らしい)をトリュフォーが映画化したもので、SFとしても、ヌーヴェルヴァーグとしても「異色」といわれている。全盛期のジュリー・クリスティーが二役を演じているのも見どころ。
いきなり1500円の廉価版で出たが、タイトルバックのナレーションを「ユニバーサル・ホームビデオ」に変えるという遊びをしていることからもわかるように(オリジナルは特典映像として別収録)、原盤はマニア向けに気合いをいれて作ったとおぼしく、一般向けの商品とは方向性が違う。
40年近い昔の映画にしては画質は驚くほどいい。きわめて保存のいいマスターが残っていたのか、丁寧に修復したのかはわからないが、輪郭がくっきりしていて、色も澄んでいる。
特典はこのDVDのために2002年に収録されたブラッドベリのインタビューに、生きている関係者の証言でつづったメイキング、ジュリー・クリスティーを中心にした音声解説、スチール集と豊富だが、残念なことに字幕がついていない(!)。
このDVDはマニア向けであって、1500円でも2980円でも、売れる本数はあまり変わらないと思う。2980円にして、特典映像と音声解説に字幕をいれた方がよかったのではないか。