ピーター・コヨーテ、ナスターシャ・キンスキー主演なのに、日本未公開で終わったエロチック・サスペンスである。まったく期待しなかったのだが、意外におもしろかった。
東部の名門大学なのだろう、教授室の重厚な机の上で、全裸で膝をかかえた女子学生が詩を暗唱する場面ではじまる。コヨーテ演ずるデニス・バークはホーソンを研究する英文科の教授だったが、全裸の彼女との関係がまずくなり、セクハラと告発されて、西部の田舎大学に移らざるをえなくなる。身分は客員教授となっているが、実際は臨時雇いである。
またセクハラ事件を起こしたら大学人としてやっていけなくなるので、女子学生にモーションをかけられると、あからさまに逃げ腰になっている(笑)。終身在職権を手に入れるまでは謹慎生活をつづけなければならないのだが、殺人罪で服役中のリディア(キンスキー)とエロチックな文通を楽しんでいるうちに、とんでもないことになる。刑期が24年残っているので安心していたリディアが脱獄して、彼の家に転がりこんできたのだ。彼女は自分は冤罪だ、真犯人は被害者の夫だから、証拠探しを手伝ってくれと懇願する。警察沙汰になりたくないバークスは不承不承協力する破目になる。
橋爪功がやりそうな小心でかっこ悪いオヤジをコヨーテが演ずるところがおもしろいのだが、こういうひねったサスペンス映画は日本では受けないだろう。
ナスターシャ・キンスキーは老けたが、オーラは健在だし、ヌード・シーンもある。彼女に男を迷わせるオーラがないと、この映画は成立しない。
画質・音質とも良好。英語字幕が出るので、聴きとりに自信がなくても楽しめる。