一応、劇場公開されたそうだが、こんな映画があったとは知らなかった。アカデミー賞四冠の名作、「炎のランナー」のヒュー・ハドソンが監督し、アル・パチーノとナスターシャ・キンスキー、ドナルド・サザランドが出演しているとなれば、もっと話題になってよさそうなのだが。
駄作かなと疑いながら見たら、やはり駄作だった。
舞台は独立戦争下のアメリカ。主人公のトム・ドッブ(パチーノ)は唯一の財産である舟を独立軍に徴発され、幼い息子のネッドとともに無理矢理兵士にされてしまう。最初の敗戦で軍を脱走するが、熱狂的な独立派のデイジー(キンスキー)に卑怯者となじられる。トムは英軍につかまり、狐狩りの狐代わりに狩り立てられる屈辱を味わう。ネッドも英軍につかまり、軍楽隊に編入されるが、上官にさからったので足を痛めつけられる。トムはネッドを野営地から救いだすが、窮地におちいり、間一髪で独立軍側のインディアンに助けられる。トムとネッドはすすんで革命軍に志願し、デイジーと再会するが、彼女は英軍につかまり、行方不明になる。数年後、独立戦争は独立派の勝利に終わり、トムはデイジーと再会する。
「炎のランナー」は単純明解なテーマで、一点に集中していったが、この作品は歴史大作が撮りたいのか、父子の愛情が撮りたいのか焦点がぼやけている。大富豪のお嬢様から独立の女闘士に変身するナスターシャ・キンスキーの役は説明不足だし、そもそも無理がありすぎる。「炎のランナー」で成功したドキュメンタリー的手法も裏目に出て、冴えない歴史映画になってしまった。
映像のディティールは史実に忠実なのかもしれないが(小汚い)、それをいうのだったら、主人公を非アングロ・サクソンのイタリア系とロシア=ドイツ系にしたのはいかがなものか。
画質・音質はVHS3倍速程度。画面は両サイドをトリミングしている。