映画館で見てよかった作品である。SFXがすばらしいのはもちろんだが、変に話をひねくらず、原作に忠実なのがよい。家族愛を加味したのは、今の時代、しょうがないだろうし、くどくないので、傷にはなっていない。ラストの虚脱感は原作そのものだ。ストーリーに不満を持っている人が多いようだが、お涙頂戴をありがたがるバカは放っておこう。「宇宙戦争」はこれでいいのだ。
自宅の小さな画面と貧弱な音響設備でどうかなと危惧していたが、ちゃんと楽しめた。画質・音質とも申しぶんなく、細かい音の動きがわかって、音に関する限り、映画館よりよかった。
特典映像は基本的に7分程度にまとめたファイルが6本、14分の「外敵をデザインする」(トライポッドとクリーチャーのデザインで7分×2)、21分の撮影日誌が3本。いずれもメイキング映像を背景に、スタッフや出演者にインタビューする構成だが、7分を基本単位にしたのは正解で、ちょうどいい長さだと思う。
「再び、宇宙人襲来」でスピルバーグは1953年版は核戦争に対する社会不安から生まれたこと、9.11で再び「宇宙戦争」に共鳴する時代が来ると考えたので、この映画を作ったと語っている。確信犯なのだ。
驚いたのはこれだけの大作を準備3ヶ月、撮影2ヶ月、ポストプロダクション3ヶ月、合計8ヶ月で作っていたことだ。まさに職人芸だ。