『花とアリス』

加藤弘一 *[02* 製作年<] 2004
*[03* 監 督<] 岩井俊二
*[04* 出 演<] 鈴木杏
*[04*    <] 蒼井優
*[04*    <] 郭智博
*[05* 製 作<] アミューズ
*[05* 地 域<] R2、NTSC
*[06  枚 数<] 片面2層×1、片面1層×1
*[06  時 間<] 135+118分
*[06* 音 声<] 日本語
*[06* 字 幕<] 日本語
*[06* 画 面<] 16:9
*[07  特 典<] ショートフィルム版
*[07     <] メイキング、文書資料
*[08* 作 品<]☆☆☆☆
*[08* 特 典<]☆☆☆☆
*[08* 画 質<]☆☆☆☆
*[08* 音 質<]☆☆☆

 ネスレが「キットカット」日本発売30周年を記念し、breaktown.comからネット配信した短編をもとに作られた劇場用映画。いっしょにバレエ教室に通っている花(鈴木杏)とアリス(蒼井優)という仲良しコンビが異性を意識するようになって壊れるというありがちな話を、蜘蛛の糸をとらえるような繊細なタッチで描きだす。封切時に見て傑作と思ったが、DVDで見ても繊細で色彩豊かな画面は損なわれていない。

 通常版は劇場版本篇と文書資料だけだが、特別版につく特典ディスクにはネット配信版(「ショートフィルム版」)と、メイキング(なぜか「完全版」という名称)が収録されている。

 ネット配信版は12〜18分の短編4本からなるが(全53分)、花が電車で見かけた宮本(郭智博)というたよりない先輩に一目惚れし、同じ落語研究会にはいって振りまわすエピソードだけでまとめられ、アリスの出番はすくない。

 劇場版は万能の言い訳になる記憶喪失をもちこんで強引に話を拡げているが、花があまりにも一途なので、強引さがほほえましさになっている。ネット配信版では一足先に恋をした花をうらやましがるだけだったアリスは、劇場版では自分なりの可能性を見つけて輝いている。オーディションでアリスが踊る場面がクライマックスになっている。

 メイキングは65分だが、岩井監督が演技をつける場面を中心によくまとまっていて、これだけでも独立の作品として見る価値がある。通常版と特別版は価格差があまりないから、特別版を買うべきだ。

 画質はフィルムらしさをよく残しており良好だが、音はステレオ2チャンネルなのに、無理に拡がりを出そうとして、やや不自然になっている箇所がある。

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