三島の特種製紙総合技術研究所PAMで、3月29日まで「原弘賞のクリエイターたち――2」展が開催され、『安部公房全集』で同賞を受賞した近藤一弥氏の作品が展示されている。入場は無料だが、電話による予約が必要(055-988-2401)。
展示は二室にわかれる。最初の部屋では中央に全集が展示され、三方の壁に全集の箱を開き、裏側に印刷された写真を額にいれて展覧している。右の写真で、左情報に四角い穴があいているのは、表紙の題字を見せるための箱の切り抜きである。
二番目の部屋では、中央のテーブルに天井からテキストを写しだし、テーブルを囲む三方のスクリーンには、箱根の別荘の仕事部屋を撮影したビデオがエンドレスで映写されている。勅使河原宏を思わせる前衛的な映像である。
なお、2月8日2〜4時に近藤一弥氏の講演が予定されており、安部公房関係の貴重な話が聞けるという。こちらも入場無料で、電話による予約が必要とのこと。(Jan23; Updated on Apr12)
京橋のフィルム・センターで開催される「特集・逝ける映画人を偲んで1998-2001(2)」で、「砂の女」と「他人の顔」が上映される。
日時は以下の通り。
料金は一般500円、高校・大学生・シニア300円、小人100円。
世田谷文学館で、9月27日(土)から11月3日まで、「[没後10年] 安部公房展」が開かれている。
没後10年という区切の年であり、せたがや文化財団の設立記念ということもあって(理事長の三重野康氏は奉天時代からの安部公房の友人)、今回の展覧会はこれまでになく充実している。別室で上映されている近藤一弥氏によるヴィデオ・インスタレーションは「原弘賞のクリエイターたち――2」で公開されたもののバージョンアップ版だというが、映写角が広くなったせいか、見違えるようにわかりやすくなっている。入口がわかりにくいが、必見である。
ワープロとシンセサイザー | 後期作品と愛用の品々 |
外国語版さまざま | 全集の箱の裏側 |
図録は安部公房研究の最新の水準を示すもので、完結した完全編年体の全集(別巻のみ未刊)の成果がはやくもあらわれている。従来の安部公房観を根本から書き換えるといってよい論考が並んでいるが、残念なことに初日には間に合わなかった。
開会レセプションの模様はエディトリアル参照。
会期中、以下のイベントが開かれる(要予約)。