今をときめくトム・ハンクスの出世作で、子供の頃、少女の人魚を見かけて海に飛びこんだ少年が、20年後、人魚と結ばれるというロマンチック・コメディである。トム・ハンクスがとにかく若く、痩せているが、饒舌なのは変わらない。
人魚役のダリル・ハンナが気になり、ずっと見たかったのだが、コメディ部分は波長が合わず、かったるかった。人魚であることを隠すために一時間以上ギャグで引っぱるのだが、これがくどいのだ(波長の合う人にはおもしろいかもしれないが)。人魚だとばれてからの30分はよかった。
画面は赤味が出てきていて、あまりよくない。メイキングのくっきり感と較べると、かなり見劣りがする。録音は一応DD5.1だが、サラウンドは主題歌以外ではほとんど生かされていない。20年前の平均はこんなものか。
特典のメイキングはディズニーとの契約がまとまるまでの裏話がおもしろい。なかなか企画が売れず、やっとワーナーに決りかけたところで、ウォーレン・ベイティ製作で大物俳優をそろえた別の人魚映画の噂でキャンセルされたのだそうだ。子供路線から市場を広げようとしていたディズニーに拾われるが、主演女優がヌードになる映画にはディズニー内部に反対が多く、タッチストーン・ピクチャーを設立することになったという。タッチストーン・ピクチャーは本作のヒットで基礎が固まった。
もう一つの特典はオーディションの画像。家庭用ビデオなので画質はいまいちだが、無名のコメディアンにすぎなかったトム・ハンクスと、「ブレード・ランナー」の悪役で名前の出かかったダリル・ハンナの初々しい姿を見ることができる。