愛人ラマン

加藤弘一
*[01* 原 題<] L'amant
*[02* 製作年<] 1992
*[03* 監 督<] アノー
*[04* 出 演<] マーチ,ジェーン
*[04*    <] レオン,カーフェイ
*[04*    <] モロー,ジャンヌ
*[05* 製 作<] 東北新社
*[05* 地 域<] R2、NTSC
*[06  枚 数<] 片面2層×1
*[06  時 間<] 116+55分
*[06* 音 声<] 英語、仏語、日本語
*[06* 字 幕<] 日本語
*[06* 画 面<] 16:9 LBX
*[07  特 典<] メイキング、オーディション風景
*[07     <] 文書資料
*[08* 作 品<]☆☆☆☆☆
*[08* 特 典<]☆☆☆☆
*[08* 画 質<]☆☆
*[08* 音 質<]☆☆

 「デュラス 愛の最終章」を見て、「愛人ラマン」をもう一度見たくなった。「愛の最終章」でデュラスを演じたジャンヌ・モローが、やはりデュラスとしてナレーションをつけているということもあるが、「飼う」「飼われる」という関係に思いいたったことが大きい。白人なのに中国人に「飼われる」という変則的な形で愛の生活をはじめたデュラスは、30歳以上若い男を「飼う」という形で愛の生活を終えた。彼女はヤン・アンドレアの人生に残酷な刻印を捺したが、それは人生の最初に受けた傷の深さに見あっていたのかもしれない。

 10年ぶりに見たが、何度見てもいい。メコンの悠久の流れのようなガブリエル・ヤードの甘美なテーマ曲が頭の中で鳴りつづけている。

 英語版とフランス語版、両方で見た(聴いた)が、ジャンヌ・モローのナレーションはフランス語版の方がニュアンスに富み、チャーミングである。また、ジェーン・マーチ本人の台詞よりも、フランス語の吹替の声優の台詞の方が情感がこもっている。レオン・カーフェイは本人の台詞(英語版)の方がいいが、フランス語版も一聴の価値がある。

 メイキングは50分と長いが、長さに見あった内容があり、この映画が好きな人ならメイキングのためだけでもDVDを買う価値がある。

 アノー監督はロケハンでベトナムを訪れるが、名称こそ変わったものの、デュラスの通ったリセが健在だったし、デュラスを愛した中国人の友人も生き残っていて、当時の二人を語っていた(デュラスが小説家になったことも、『愛人ラマン』で中国人との関係を赤裸々に書いたことも知らないらしく、二人の間には何もなかったと言いはっていたが)。

 だが、半世紀つづいた戦争のために、失われたものが多い。CGが本格的に使われるようになる直前に作られた作品だけに、撮影隊は衣装はもとより、エキストラ用の数十台の自転車やバス、渡し船まで作って、1930年代の仏領インドシナを再現する破目になった。汽船の改修費だけでも一億円かかったそうだ。

 この映画の成否は主演の少女にかかっていた。ジェーン・マーチに決まるまでに二万人以上のオーディションをしたという。ジェーン・マーチのオーディションの様子が挿みこまれているが、黒い髪で、若い日のデュラスと顔だちがそっくりなのに監督が気づき、原作の表紙の写真と見くらべながら、その場で髪を三つ編みにして、ジャケット写真の顔を作っていく。このシーンはスリリングだ。

 残念なことに、画質はそれほどよいとはいえず、フィルムの傷が残っている。音はステレオ感はあるが、サラウンド全盛の現在では寂しい。

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