『史上最大の作戦』

加藤弘一
*[01* 原 題<] The Longest Day
*[02* 製作年<] 1964
*[03* 監 督<] アナキン,ケン
*[03* 原 作<] ライアン,コーネリアス
*[04* 出 演<] ウェイン,ジョン
*[04*    <] フォンダ,ヘンリー
*[04*    <] バロー,ジャン=ルイ
*[04*    <] ライアン,ロバート
*[05* 製 作<] FOX
*[05* 地 域<] R2、NTSC
*[06  枚 数<] 片面2層×2
*[06  時 間<] 179+ 分
*[06* 音 声<] 英語5.0、日本語モノ
*[06* 字 幕<] 日本語、英語
*[06* 画 面<] 16:9 モノクロ
*[07  特 典<] メイキング
*[07     <] 予告編
*[08* 作 品<]☆☆☆☆☆
*[08* 特 典<]☆☆☆
*[08* 画 質<]☆☆☆☆
*[08* 音 質<]☆☆☆

 ハリウッド全盛時代にオールスター・キャストで作られた作品で、これはすごい。

 リバイバル時だろうと思うのだが、昔、映画館で見たことがある。口笛の主題曲くらいしか憶えていなかったが(口笛は記憶違いで、ピッコロだった)、DVDで見直してみると、海岸に鉄兜が転がっている場面とか、干草を盛りあげた馬車にレジスタンスが隠れている場面とか、記憶がよみがえってきた。

 ノスタルジーを抜きにしても、堂々たる傑作であることは間違いなく、スケール、格調、緩急自在の演出い、役者の柄の大きさ……すべてが傑出している。この作品の前では『プライベート・ライアン』がなんとせせこましく見えてくることか。CGがどんなに進歩しても、こういう映画は二度と作れないだろう。

 3時間の映画だが、前半の1時間半は上陸前日から上陸直前までの息詰まる一日を描く。後半は上陸から、アメリカ軍が最大の犠牲を出したオマハ・ビーチを抜くまでである。『プライベート・ライアン』のような皮膚感覚に伝わってくる恐怖はなく、エンターテイメントに徹しているので、安心してみることができるが、英軍がお笑い担当なのはかわいそうである。

 モノクロだが、諧調表現が深く、画質は上等。音の方はサラウンドといっていいのかどうか。

 特典ディスクにはノルマンディー上陸25周年(映画公開の7年目)を記念して放映された「D-Day Revisited」というTVドキュメンタリーがおさめられている。

 キャスターは『史上最大の作戦』のプロデューサーで、20世紀FOX社長のダリル・ザナック。1969年時点のノルマンディーの戦跡を訪れ、映画の場面と対比しながら、各地点の戦闘の戦略的な意味を解説していくのだが、Dデイをよく知らなかったのでおもしろかった。オマハ・ビーチには空爆と艦砲射撃を逃れたトーチカが一基残っていて、そこからの砲撃がアメリカ軍に大損害をあたえたのだという。撮影時点では当時の砲がそのまま保存されていたが、今でもあるのだろうか。

 映画の中では説明的な場面はまったくないが、英米では(すくなくとも封切時には)常識に属することなので、不要だっただろう。Dデイに詳しい人以外は、本作を見る前に、このドキュメンタリーを見ておいた方がいい。

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