『2001年宇宙の旅』

加藤弘一
*[01* 原 題<] 2001: a space odyssey
*[02* 製作年<] 1968
*[03* 監 督<] キュブリック,スタンリー
*[04* 出 演<] デュリア,キア
*[04*    <] 
*[05* 製 作<] ワーナー
*[05* 地 域<] R2、NTSC
*[06  枚 数<] 片面2層×1
*[06  時 間<] 148+3分
*[06* 音 声<] 英語 5.1
*[06* 字 幕<] 日本語、英語
*[06* 画 面<] 16:9 LBX
*[07  特 典<] オリジナル予告編
*[08* 作 品<]☆☆☆☆☆
*[08* 特 典<]
*[08* 画 質<]☆☆☆
*[08* 音 質<]☆☆☆

 自宅の貧弱な機械で見て、どこまでおもしろいか不安だったが、引きこまれた。左右がトリミングされた画面なので、やや異和感があるが、傑作は傑作である。映画館で3回か4回見ているのだが、細部はかなり忘れていたて。

 ご存知のように、この映画にはビッグネームが一人も出ていない。だからドラマがないと決めつけるのは間違いで、コンピュータ=人間間の駆引には息詰まるものがある。HALに会話を聞かれないように、ポッドの中で相談するのボーマンらをHALのカメラがじっと凝視し、唇の動きを読みとる場面など、抑制した硬質のドラマはみごとというしかない。

 超空間にはいった後は「サイケ場面」といわれることが多いが、当時流行のサイケデリックとはまったく異質の、ロココ的な静謐な美しさをたたえている。ワルツに乗って宇宙ステーションが舞う場面やロケットの端正な内装など、この映画はロココ趣味を基調にしている。未来というと、当時はモダニズムにするのが普通だったし、最近はグロテスクやマニエリスムに走っている。キュブリックの個人的な趣味なのかもしれないが、ロココ的な未来像は、今後も出てこないような気がする。

 特典は予告編だけ。画質はデジタル・リマスターということで、傷がまったくない。色調はオリジナルに忠実だと思うが、情報量は多くなく、ややのっぺりしている。この映画こそ、スーパービット版を出してほしい。

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