封切時に見ようと思っていたが、丹波哲朗のCMが逆効果だったのか、すぐに終わってしまい、気になっていた作品である。
マシスンの原作(未読)は名作として名高いが、映画もよくできている。
事故で死んだクリス(ウィリアムス)が一人とりのこされた妻のアニー(シオラ)のもとにもどり、力づけようとするが、彼女は自殺してしまう。霊界では自殺した魂は地獄に落ちることになっており、クリスは自分も地獄に閉じこめられるのを覚悟でアニーの魂を救いにいく。
というと、まるっきり『大霊界』だと思うかもしれないが、本作は伝統的な霊界観を巧みにアレンジしていて、霊界の解釈自体も興味深い。
(『大霊界』は笑いものにする人が多いが、西洋スピリッチュアリズムの伝統にもとづいていて、映画としても悪くない。)
クリスは最初、アニーの描いた絵画の世界にはいりこむ。油彩画の絢爛たる色彩がみごと。アニーのアナベラ・シオラは同じ監督の「心の地図」のアンヌ・パリローそっくりにみえる。ウォード監督のアニマなのだろう。
メイキングはインタビューが主で、SFXの舞台裏は簡単にすませている。美しい映像が売りの作品なので、この方がいい。