現実とヒロインの空想の往復をカット割で表現するのはいいのだが、封切時は一カットが短すぎて、歌と踊りを十分楽しめないように感じた。二度目のせいか、せかされているような印象は薄れたが、モンタージュにメリハリが欠けている。この監督はスピード感を勘違いしてはいないか。
ただ、素材は圧倒的によくて、キャサリン・ゼタ=ジョーンズの躍動する踊りも、レニー・ゼルウィガーのコケティッシュな歌も、リチャード・ギアのいかがわしいオーラも、クィーン・ラティファの貫禄もすばらしいというしかない。別の監督が編集すれば、もっとおもしろくなるのではないか。
特典ディスクは材料は豊富だが、料理の仕方に問題あり。メイキング、インタビュー集ともにカットが短く、本篇以上にせわしない。インタビュー集には12人も登場するが、一人1〜2分しか映らないので、欲求不満がつのる。なぜこんなに短くするのだろう?
「スペシャル・プログラム「シカゴ」のすべて」は日本のTV公開向けのプロモーション・フィルムだが、編集済みの素材しかなかったのか、せわしなさは本国版のメイキング(これもTV向けプロモーション・フィルムだが)と同じだ。
「ビハインド・シーン」にはリハーサル風景、レコーディング風景、撮影風景が収録されているが、これもカットが短すぎるし、画質が悪い。この種の特典は画質が本篇より落ちるのが普通だが、『ムーラン・ルージュ』の特典は本篇に近い高画質だったので、どうしても較べてしまう。キャサリン・ゼタ=ジョーンズのリハーサルは高画質で見たかった。
本篇ディスクの画質・音質はすばらしいのに、特典ディスクをなぜここまで低画質・低音質にするのだろう。