カルト的な人気を誇るロック・ミュージカルの傑作。嵐の夜、古城に迷いこんだ大学生カップルが、オカマ宇宙人の主催する化物パーティーの仲間入りをするという筋で、1950年代のチープなSF映画やホラー映画のパロディが満載。ヒロインの純真でHな女子大生は、なんと、若き日のスーザン・サランドン(かわいい!)。
映画館で何回も見ているが、DVDでも本篇、音声解説篇、パフォーマンス篇と三回見てしまった。作りも凝っていて、メニュー画面で項目を選択すると、網タイツをはいた女性の脚がその項目を蹴飛ばすようになっている。
『ロッキー・ホラー・ショー』といえばパフォーマンスつき上映が有名である。『フェーム』にニューヨークの劇場の本場のパフォーマンスが出てくるが、本篇ディスクの特典の「劇場体験スイッチ」をOnにすると、パフォーマンスつき上映会の模様が本篇と交互に映しだされる。「Prompter Participation」をOnにすると、「ここで新聞紙をかぶる」のように指示が字幕で出、「Audience Participation」をOnにすると観客の反応がサラウンドで再現される。
音声解説は脚本を書き、傴僂の執事、リッフ・ラフを演じたリチャード・オブライエンと、クレージーなメイド、マジェンタを演じたパトリシア・クイン。二人ともロンドン初演以来のキャストだけに、『ロッキー・ホラー・ショー』の裏も表も知り尽くしていて、実に楽しく、おもしろい。この音声解説のためだけでも、DVDは買う価値がある。
特典ディスクは本篇より40分も長い。一番の見ものはTVの特番として製作された「25周年記念上映ドキュメンタリ」で、ロンドン初演のおこなわれたロイヤル・コート・シアターは、名前とは裏腹に客席数わずか60の小屋だったとか、映画化の話が来て、大スターを使った大作にするか、オリジナル・キャストを残した低予算映画にするかの選択を迫られ、低予算映画を選んだが、封切時にはまったく客がはいらかったとか、意外な話が聞ける。
「VH1スペシャル」は関係者のインタビュー集で、もう一段ディープな話が聞けるが、製作から30年近くたっているせいか、発言者によって、内容が微妙にずれているのは御愛敬。
スーザン・サランドンはやはり貫禄で、インタビューアーはみんな『ロッキー・ホラー・ショー』に出たことを後悔していると言わせたがって、しきりに誘導してくるが、40本の出演作の中でタイムカプセルにいれて残したいのはこの作品だと言い切っている。子供に見せたいかと聞かれると、子供が14歳になった時、ナタリー・ポートマンといっしょにパフォーマンスつきの上映会に連れていった言っていた。本当にこの映画が好きなのだろう。
「NG集」は未採用カット集で、いわゆるNG集ではない。「ミスプリント・エンディング」はプリント時の手違いでできてしまった誤ったエンディングで、いわゆる別エンディングではない。こんなものまではいっているのだから、特典ディスクはマニア志向である。
何度見てもおもしろいのは、曲がいいからである。関連CDはたくさんでている。日本で出ているものだけでもサントラ盤、ロンドン・オリジナル・キャスト盤があり、輸入盤になるが25周年記念盤は最強のサントラ盤といわれているそうである。