『緋文字』の映画化というふれこみだが、ホーソンもびっくりのロマンチック歴史大活劇になっている。『ミッション』の監督だけに、ディムズデール牧師(ゲーリー・オールドマン)はネイティブ・アメリカンのよき理解者で、クライマックスではネイティブ・アメリカンが大活躍し、なんとハッピーエンドで終わる。
黒髪で、強情そのもののデミ・ムーアはヘスター・ブリンにぴったりではある。チャリングワースと名前を変えてあらわれるヘスターの夫(ロバート・デュバル)は、粘着質で陰険な面ばかりが描かれ、単純な悪役になってしまっている。チャリングワースの高邁な部分は、そっくりディムズデールに移され、偽善的な部分が薄められた結果、共感しやすいヒーローになっている。原作では、男二人の人物像はもっと複雑で、容易に感情移入できないが、ハリウッド映画にそれを期待するのは無理か。
原作とは別物と割り切れば、なかなかおもしろく仕上がっている。『緋文字』がこんな単純な話だと誤解する人が出てきそうで、心配だが。