ご存知、D.H.ロレンスの原作の映画化。オリジナルは1993年製作の205分のTVムービーだが、日本版DVDは「劇場公開版」で、118分に再編集されている。
ラッセルはすでに『恋する女たち』でロレンスを映画化し、階級対立を鮮明に映像化していたが、今回の作品も階級対立に主眼がおかれている。おおむね原作に忠実だが、ラストの3分間は映画の創作である。原作はこんなに希望のある終わり方はしない。
ロレンスを不倫ポルノの口実にしなかった姿勢は評価できるが、コニーの心理描写がほとんどなく、二人はあっという間に深い関係になり、あっという間に妊娠してしまう。これは短縮版のせいかもしれない。半分近く削られているから、どこかに皺寄せがいくのはやむをえないが、階級対立とヌード場面しかないという妙な作品になっている。オリジナルはどうなのだろう。
コニーを演ずるジョエリー・リチャードソンはヴァネッサ・レッドグレーブとトニー・リチャードソンの娘だけに、グリーナウェイの『数に溺れて』で若いながら、存在感を見せていた。5年後に撮られたこの作品では、成熟した美しさを見せて、まさに輝いている。ダイアナ妃に似た美貌なので、どうしてもダイアナ妃を重ねて見てしまった。英国人もきっとそう見たと思う。
画質はあまりよくないが、音質は悪くない。森の場面では自然音が広がる。