最初の劇場版が興行的に失敗しTVシリーズが打ちきられたのに、急遽、劇場版二作目が作られることになったが、人形の一部は廃棄されていたので、ゼロから作り直したという。レディ・ペネロープの顔がきつくなっているのはそのためか。
一作目がつまらなかったので期待しなかったが、思いのほかおもしろかった。一作目は派手な見せ場をつなげただけという印象だったが、二作目は一貫したストーリーとドラマがあるのだ。
物語はブレインズが飛行機会社から新型機の設計を依頼される場面からはじまる。どんなハイテク機かと重役たちが固唾をのんで待っていると、ブレインズは意表を突いて飛行船を提案する。重役たちは爆笑するが、ガスで浮かぶのではなく、反重力で浮遊する飛行船なので、結局採用され、いよいよ世界周回のテスト飛行をむかえる。
テスト飛行にはレディ・ペネロープとパーカー、アランが招待されるが、ザ・フッドはある計画のために船長と乗員を皆殺しにし、手下と入れ替えてしまう。レディ・ペネロープたちはなにも知らずに世界一周飛行をつづけるが、しだいにおかしいと思うようになる。はたしてザ・フッドのたくらみは実現するのか。
この主筋と平行して、ブレインズがサンダーバード6号の設計に難渋する副筋がはさまれる。この二つのストーリーが最後に意外な形で結びつく。この結末は洒落ている。
最後の見せ場は『魔女の宅急便』のクライマックスに酷似している。『魔女の宅急便』は少女の日常を淡々と描きながらラストで大技をくりだすが、その起源は『サンダーバード6号』にあったのだ。
メイキングは「レディ・ペネロープ」、「より優れた人形を目指して」、「タイガー号」の三本。劇場版ではレディ・ペネロープが大活躍するが、シルヴィア・アンダーソンがプロデューサー権限で無理矢理出番をふやしたらしい。「より優れた人形を目指して」ではTV版「サンダーバード」の後番組で、「サンダーバード6号」と平行して製作されていた「キャプテン・スカーレット」が紹介されているが、かなりおもしろそうである。見てみたいが、TVの放映はまずないだろう。「タイガー号」は本作で大活躍する複葉機の裏話で、かなりの部分が実写だった。陸橋をくぐり抜けるシーンは警察の警告を無視して撮影し裁判沙汰になったが、裁判官が「サンダーバード」のファンだったので無罪放免になったよし。
音声解説は一作目よりもさらにまったりとして、いい感じだ。画質、音質、日本語吹替とも、一作目と同じである。