ペレス=レベルテの『フランドルの
原作は15世紀の絵画の謎に若い女性修復家が挑戦するというペダンチックなミステリーで、チェスの手筋に秘められた500年前のメッセージと、現代の連続殺人を連動させる凝った趣向から、映像化は難しいだろうと思っていた。
『ナインスゲート』の脚色は悲惨な結果に終わったが、こちらの脚色はかなりうまくいっている。謎解きの過程と人物の相関関係を思いきって簡略化するとともに、結末を微妙に変え、原作の弱点を解決した。舞台をマドリッドからバルセロナに移し、ムニョスをチェス・オタクの中年サラリーマンから、賭けチェスで暮らすジプシーの青年に変えことも成功していて、バルセロナの遊惰な雰囲気が好もしい。古都のデカダンスを原作とは別の角度から描いている。
TVムービーを除くと、本作はおそらくケイト・ベッキンセールの最初の主演作だろう。演技はういういしく、正真正銘のヌード(思いのほか乳房が豊かで、形がきれいである)を披露している。ベッキンセール・ファンにとっては貴重な一枚である。
画質は並み。音は2チャンネルにしては広がりがよく出ている。特典はオリジナル予告編のみ。