ヘンリー・ジェイムズ後期の大作、『金色の盃』の映画化である。監督は『ボストニアン』、『鳩の翼』でジェイムズを手がけてきたジェイムズ・アイヴォリーで、アイヴォリー流のコスチューム・プレイの集大成といっていいだろう。
映画館で二回見たが、DVDでじっくり見直しても、みごとである。ユマ・サーマンが主演ということになっているが、ケイト・ベッキンセールに完全に食われている。ケイト・ベッキンセールの魅力が一番よく出ている作品ではないだろうか。
アダムの年齢を大幅に引きあげるなど、原作をかなりアレンジしているが、かえって小説の構造がはっきりしたと思う。あの難物をよくここまで料理したものだ。ヘンリー・ジェイムズを研究している人にとっても、触発されるところが多いはずである。
画質は輪郭を強調しているのか、映画館よりもくっきりしている。衣装や壁紙の模様が見えすぎかなと思わないでもないが、要求しすぎか。音場感はあまりない。
特典のインタビューはせわしないが、おもしろい。ケイト・ベッキンセールは嫌な女の役がつづたところだったので、可愛い役が回ってきてうれしかったと語っているが、どんな役をやっていたのだろう。