映画館で何回か見たことがあるが、やはり傑作中の傑作だ。久しぶりに見て、ティム・バートンも、ジョニー・デップも、まだこれを超える作品は作っていないと思った。
ジョニー・デップは畢生の名演。台詞はすくなく、未完成のロボットという設定だけに表情も所作も縛りがかかっているが、その制約を超えている。ペグのダイアン・ウィースト、キムのウィノナ・ライダーがまたすばらしいし、エドワードを作った老発明家のヴィンセント・プライスも泣かせる。見れば見るほどよくできていて、ため息が出てくる。手がハサミの男というアイデアがすごいし、脚本が考え抜かれている。
画質・音質とも普通。特典のメイキングとインタビュー集は短く、ぶつ切れで不満が残る。脚本のキャロライン・トンプソンはジョセフ・キャンベルの神話学にふれていた。音声解説はティム・バートンの方しか聞いていない。あまり喋るタイプの人ではないが、結構、周りに気を使っている。手がハサミになっている男は十代の時に思いつき、「ビートルジュース」製作中にキャロライン・トンプソンに脚本を依頼したそうだ。彼女は「ビートルジュース」と「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の脚色も担当しているが、どちらも傑作である。
町のモデルは故郷のバーバンクだが、撮影はフロリダのタンパの実際の住宅地でおこなった。50軒の家を4ヶ月間借り上げ、その間、住民は近くのホテルやモーテルに移ったとのこと。どちらかといえば小規模なこの作品でも、ハリウッドはこれだけお金をかけるのだ。