公開時に見ているが、気になる作品なので、廉価版が出たのを機に見直してみた。
粘液ドロドロのガジェットこそクローネンバーグだが、迷宮構造のストーリーはディックの長編を思わせる。うかうかと異世界にはいりこんでいく感覚はたまらない。比較的低予算の映画だろうし、これといった技術は使っていないが、単細胞の大作よりよほどスリリングだ。
メイキングはインタビュー中心だが、たいしておもしろくない。クローネンバーグは『悪魔の詩』のサルマン・ラシュディと話していて、この映画を思いついたという。狂信者に生命を狙われる芸術家というわけだが、本人が関係があると思いこんでいるだけだ。
画質・音質は並だが、もともとちまちました作品なので、これでも十分である。