『ザ・フライ』

加藤弘一 *[01* 原 題<] The Fly
*[02* 製作年<] 1986
*[03* 監 督<] クローネンバーグ,デヴィッド
*[04* 出 演<] ゴールドブラム,ジェフ
*[04*    <] デイヴィス,ジーナ
*[05* 製 作<] FOX
*[05* 地 域<] R2、NTSC
*[06  枚 数<] 片面2層×1
*[06  時 間<] 96+20分
*[06* 音 声<] 英語5.1
*[06* 字 幕<] 日本語、英語
*[06* 画 面<] 16:9 LBX
*[07  特 典<] メイキング、インタビュー集
*[07     <] 予告編
*[08* 作 品<]☆☆☆☆☆
*[08* 特 典<]☆☆
*[08* 画 質<]☆☆☆
*[08* 音 質<]☆☆☆

 1958年製作の『蝿男の恐怖』のリメイク。ぞっとしない話なので、オリジナルも、リメイクも見たことがなかった。ジーナ・ディヴィス目当てで見たというのが正直なところだ。

 案の定、グロテスクな映画だったが、これは傑作である。信じられないことに、ラブストーリーとして成功しているのである。オリジナルは未見だが、多分、こちらの方がすぐれているのではないか。

 主人公のセス・ブランドル(ゴールドプラム)は一昔前ならマッド・サイエンティストですんだが、現代では大企業に囲われたオタク科学者で、生物にうといために、彼の作ったコンピュータも生物の特性を理解できず、動物の転送に失敗している。だが、生気あふれる女性ジャーナリストのロニー(デイヴィス)とつきあうようになり、人間性に目覚め、ついに動物を転送することに成功する。

 ここから悲劇がはじまるのだが、ドラマ構成が緻密で、物質電送という非現実的なテーマにもかかわらず、主人公二人の心の動きにリアリティがある。脚本と演出の勝利だが、ジーナ・デイヴィスの演技も特筆すべきだ。

 画質は標準。音はよく拡がる。特典のインタビュー集はメイキングと重複する。ジーナ・デイヴィスは本作がはじめてのシリアス作品だそうだ。

 かなり当たった映画で、1989年には続篇、『ザ・フライ2/二世誕生』が公開されている。オリジナルの映画の方もDVD化されている上に、続篇の『蝿男の逆襲』をカップリングした『蝿男シリーズ DVD-BOX』まで出ている。リメイクのリメイクが進行中という噂まである。絵になる作品なので、根強い人気があるのだろう。

 ジョルジュ・ランジュランの原作は昔、早川書房でスタージョンの『一角獣多角獣』やブラッドベリの『メランコリの妙薬』と同じ、貼箱にはいった新書判の「異色作家短編集」から出ていたが、一度文庫化されたものの、絶版がつづいている。読んでおけばよかった。

追記: ジョルジュ・ランジュランの『』は2006年1月に復刊された。

関連: 『蝿男の恐怖』、『蝿男の逆襲

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