『怪奇異星物体』

加藤弘一 *[01* 原 題<] The Day the World ended
*[02* 製作年<] 2001
*[03* 監 督<] グロス,テレンス
*[04* 出 演<] キンスキー,ナスターシャ
*[04*    <] エドナー,ボビー
*[04*    <] クエイド,ランディ
*[05* 製 作<] Sony
*[05* 地 域<] R2、NTSC
*[06  枚 数<] 片面2層×1
*[06  時 間<] 90+3分
*[06* 音 声<] 英語5.1、日本語
*[06* 字 幕<] 日本語、英語
*[06* 画 面<] 16:9 LBX
*[07  特 典<] メイキング、音声解説、文書資料
*[07     <] シリーズ予告編
*[08* 作 品<]☆☆
*[08* 特 典<]☆☆
*[08* 画 質<]☆☆☆
*[08* 音 質<]☆☆☆

 スタン・ウィンストンは『エイリアン2』や『ターミネーター2』、『ジュラシック・パーク』でアカデミー賞を獲得した怪物作りの名人である(『タイムマシン』2002年版のメイキングに登場している)。彼は1950年代にサミュエル・アーコフ総指揮で量産されたB級怪奇映画を、2001年にTV向けシリーズとして自分のスタジオでリメイクしたが、これはその一編で、オリジナルは『原子怪獣と裸女』だそうである(『アーコフ・ライブラリー 怪奇モンスターセレクション』所収)。この作品は最初、他のシリーズ作品と5本セットにした『クリチャー・フィーチャーズ』というBOXで発売された。ナスターシャ・キンスキーが『原子怪獣と裸女』という題名の映画のリメイクに主演しているのは気にはなったが、出演しているのはこれ一本なので、BOXを買おうとは思わなかった。そのうちに半額半蔵にはいったので、ようやく見たしだいである。

 『原子怪獣と裸女』は未見だが、メイキングと音声解説によると、ストーリー的にも、設定的にもまったく関係なく、怪物のデザインを借りただけのようである。主人公のベン少年がつらい現実から逃避するために『原子怪獣と裸女』を繰りかえし見ているうちに、作中の怪物そっくりの怪物が現実に出現するという趣向だ。

 臨床心理学者のスティルマン(キンスキー)はニューヨークから山間の僻村の小学校に赴任してくる。着任早々、いじめられっ子のベン少年を気にかけ、話を聞こうとするが、校長や保健室の看護士、養父に妨害される。彼らの背後には排他的な村人の目がある。奇人変人だらけの山間の村に外部から主人公がやってくるという設定は『ツイン・ピークス』を思わせる。

 村人がベン少年に神経を尖らせるのは、彼の母親の不審死に原因があった。彼女は流れ者で、村の男たち相手に娼婦のようなことをしていた。事故死ということになっていたが、いわくがありそうなのである。

 そうこうするうちに、怪物があらわれ、ベンの母親の死に関係した村人が次々と殺されていき、パニックに陥った村人は山狩をはじめる。スティルマンとベンは怪物と村人、両方から命を狙われる。

 現代的なサイコホラーとして真面目に作ってあるが、真面目な分、凡作である。ナスターシャ・キンスキーはここでも掃きだめの鶴をやっている。

 特典のメイキングは3分しかない。実質的には監督のインタビューだが、この3分間で本作のすべてが言い尽くされている。

 スタン・ウィンストンとプロデューサーの音声解説は和気あいあいと仲間誉めをしている印象だ。英国人の監督を起用したので、村の奇人変人たちをうまく戯画化したと自画自賛しているが、『ツイン・ピークス』の二番煎じとしか思えない。

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