電脳社会の日本語』 読者アンケート結果

加藤弘一

 2002年3月1日現在、31通の回答をいただきました。そのうち、最初にいただいた2通は、大変申しわけないことに、ハードディスクのクラッシュのために消失させてしました。また、2通はフォームで送れないということで、「ご意見・ご感想」のみのご回答でした。したがって、有効回答は29通となります。

 アンケートは引きつづき受けつけ、随時、更新していきますので、よろしくお願いします。

1. 性別は?

  1. 男性 ##############################
  2. 女性 #

2. 年代は?

  1. 20代 ########
  2. 30代 ###########
  3. 40代 #####
  4. 50超 #######
  5. 不明 
 文春新書の中心読者はかなり年齢が高いですから、本書の読者はこれでも若いと考えるべきでしょう。

3. 文系ですか、理系ですか?

  1. ずっと文系   ########
  2. 学校文、仕事理 ##
  3. 学校理、仕事文 ##
  4. ずっと理系   #############
  5. 不明      ######
 インターネット・アンケートであることを考えると、予想以上に文系の読者が多く、うれしく思っています。

4. パソコン使用歴は?

  1. 1年未満   
  2. 1〜3年   ##
  3. 4〜9年   #########
  4. 10年以上  ###################
  5. 使わず   
  6. ワープロ派 
 この項目が一番意外でした。インターネットでアンケートをとる以上、パソコン習熟者が多くなるのは当り前ですが、最近のインターネット利用者にはパソコン初心者が増えていますから、これだけの偏りは有意ではないかと思います。
 パソコンを長期間使っている人でないと、文字コード問題の重要性を実感しないということではないかと考えています。

5. どちらで本書をお知りになりましたか?

  1. 書店で見て #######
  2. 広告で   
  3. 書評などで ###
  4. 本サイトで #########
  5. 月刊ほら貝 #
  6. 他サイトで ###########
  7. 掲示板MLで 
  8. 友人の話で 
  9. その他   #
 他サイトの5名の方はいずれも中村正三郎さんのページで知ったそうです。ありがたいことです。

6. いつ本書をお知りになりましたか?

  1. 発売日以前  ###
  2. 発売日〜4月 #####
  3. 5月〜7月   ################
  4. 7月〜12月  ###
  5. 2001年 以降 ###

7. 本書はわかりやすかったですか?

  1. 大変わかりやすい ######
  2. わかりやすい   ##############
  3. 普通       ##
  4. やや難しい    ######
  5. かなり難しい   ##
  6. 難解で理解不能  
 「わかりやすい」、「大変わかりやすい」という方がこんなにいらっしゃったのはうれしいですが、インターネットでとったアンケートだという点を考慮にいれるべきでしょう。出版関係者の感想は「難解で理解不能」が多かったです。技術的な難しさからというより、電子文書が正本になるという事態にまだリアリティを感じていない、という点が大きいようです。

9. どの章が一番おもしろかったですか?

  1. 第1章 電脳時代のS・カルマ氏   ##
  2. 第2章 アルファベット社会への参入 #
  3. 第3章 国際文字コードとしての漢字 ##
  4. 第4章 漢字制限論の亡霊      ###############
  5. 第5章 グローバル・スタンダード  ######
  6. 第6章 文字コードの現在      #
  7. 補説               ##
 予想通り、抗争を描いた章ほど人気があります(笑)。

10. ご意見・ご感想

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アンケートの文系または理系について、よくこういう分け方がありますが。
どういう意味があるのでしょうか、よくわかりません。
不明のほかにどちらでもないを追加したらどうでしょうか。

情報教育にかかわっている私にとって、大変重要な事柄や視点を教えて
いただきありがとうございまた。
早速、授業で紹介させていただきました。
 教職にある方からのご回答です。頭の柔軟な若い学生の方々と日常接しておられると、理系・文系という分け方は無意味に思われるかもしれませんが、ある程度年齢が高くなってくると、この区別は厳然と存在するというのが、わたしの感想です。特に出版関係者のコンピュータ・アレルギーは根深いものがあります。

 文系の方にどれくらい読んでもらえるか、知りたかったのですが、インターネット・アンケートで 1/4という結果からすると、予想以上に文系読者の比率が高そうです。

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今まで、文字コードの本を探していたのですが、やっと見つかった
という感じです。全て理解するには、1回読むだけではつらいので
(特に文字コードについて)何度も読み直そうと思っています。
文字コードのマッピングについてはもう少し掘り下げて解説してい
ただけるとありがたかったのですが、難易度を考えるとこれぐらい
で良いのかとも思います。
現在、Psionを使っていて、日本語環境がUTF-8なので、それで興
味を持ち、買ってみました。
これからも、分かりやすい解説で本を書いていただければ幸いです。
 「1回読むだけではつらい」というご指摘は、プロの物書としては辛いものがあります。
 もちろん、わたしの文章の拙さに原因があるのは間違いないのですが、歴史というにはまだ生々しすぎて、はっきり書けなかったという事情もあります。
 書ける範囲で、いろいろ表現を工夫していますので、一通り読んでから、あらためて読み直すと、隠された絵柄が浮かびあがってくるかもしれませんよ。

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 以前より、このページを閲覧しておりましたが、迂闊にも、この1ヶ月ほどは見ておりませんでした。小学館の「DIME」誌の紹介記事を見てから書店に走り、購入した次第です。やはり書籍の形のほうが読みやすいというのが実感です。(寝転がっても、車の中での小休止でも読めますし。)
 以前より、このページを閲覧しておりましたが、迂闊にも、この1ヶ月ほどは見ておりませんでした。小学館の「DIME」誌の紹介記事を見てから書店に走り、購入した次第です。やはり書籍の形のほうが読みやすいというのが実感です。(寝転がっても、車の中での小休止でも読めますし。)
 全体にはホームページの記事より論点が整理されていてわかりやすいですが、コード表のご説明などは頭に入りにくいところです。位置依存文字の問題点などは紙数の都合でしょうが、新書の記載ではわかりにくくて、ホームページを再度見て、確認したりしました。
 それにしても、JIS第一・第二水準以上の文字セットが実装されるのは何時のことになるのやら。
 文字コードの課題を追求すると広大な社会経済学的な分野のドロ沼がリンクして来るような気がする、というのは考えすぎでしょうか。
 「こころの情報学」西垣・「脳のなかの幽霊」・「考える「もの」たち」の思考に通底するものを感じます。
 雑言平にご容赦を

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ホームページは月1度ほどのペースで覗かせてもらっています。
が、今回は仕事の忙しさで4ヶ月ほどチェックをサボってしまっていました。

趣味で小説を書いていますが、老子や上代漢詩などの引用では苦労しています。
仕事上はプログラマーですので、JISの扱いづらさも、 身に沁みて解っています。

『電脳社会の日本語』では、このあたりの実例が乏しかったように思いました。私は(日本の文字コードの問題については)かなりよく理解できましたが、言ってみればそれは「インサイダー」だったからだと思うのです。もっと、多くの人のために敷居を下げた別解説書を期待しています(他にそれをやれる方も知りませんので)。

閑話休題して。
私も長く TRON コードに期待をかけてきましたが、超漢字を買って愕然としました。
思いつきで入れたような記号類もガッカリしましたが、どこを探してもユーロ通貨記号が見つからなかったのが「何のための国際化文字なのか」と、一番残念に思いました。

少々脱線してしまいました。
今後もご活躍を期待しています。
それでは。
 ご指摘のように、本書では文学テキストの問題点についてはまったく触れず、公文書や商用文書の電子テキスト化の話題を中心にしています。これは意識的にやったことで、電子テキストが社会全体を覆いつくすという最重要の変化を読者に知ってもらうために、あえて論点を絞りました。

 もう一つ、出版関係の依然として多数を占める紙の発想にとらわれた方々に警鐘を鳴らすという意図もありました。
 わたしは大文字セットの必要性を訴えてきましたが、一部の印刷関係者が「活字をたくさんもっている印刷所でも一万字程度で間にあっている。六万字とか八万字の漢字など必要がない」というずれた「反論」を述べたことがあります。
 一万字で間にあうところを、おそらく使うことのない六万字、八万字の商用フォントを、何種類もそろえなければならないということになったら、小規模な印刷業者は死活問題になりかねないでしょう。商用大規模フォント開発プロジェクトとしての性格が濃厚なGT書体に、一部印刷関係者が激しく反発したのは必然だったでしょう。
 しかし、電子テキストを運用するには、めったに使わない文字でもコード化しておかなければなりません。コード化されていない文字は、ネットワーク社会では存在しないのです。
 そこがわかっていれば、印刷所のもっている活字の数など、文字コード問題とまったく無関係であることは自明なのですが、出版関係には一万字あれば十分じゃないかと考える人が多いのです。
 そういう方々に電子テキスト化社会における文字コードの重要性を理解してもらうには、文学テキストの話はしない方がよいと考えたのですが、力不足だったようです。

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楽しく拝見しました。
私は「読ん太の図書室」というホームページを公開していまして、その中の「読ん太通信」第14号で、「電脳社会の日本語」についての感想を掲載させていただきました。お暇ができました時に、お読みいただければ嬉しく思います。
URLは、http://plaza9.mbn.or.jp/~yonda_library/index.htm です。

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ユニコードについては、色々なことが言われているが、これでようやく分かった。

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一度漢字コードについて勉強しなければとずっと思っていましたが、どうもきっかけがつかめませんでしたが、今度この著書でやっときっかけがつかめました。
今までの、「攻防」など大変面白かったです。

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中村正三郎さんのホームページで本書の存在を知りました。
勤務先近くの書店を3店まわったところで運良く入手できました。
新書という形で、このような内容の濃い書籍があることにちょっと衝撃を受けています。
これから、何度も読み返す本として手許に置く事になりそうです。

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圧倒されました。非常に勉強になりました。

78JISと83JISの問題ははじめて知りました。「藪」と「薮」、ナンバー等の奇妙な現象には気が付いていましたが、やっと腑に落ちました。
本書は2件目で入手できました。4冊まとめて置いてありましたよ。

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大変面白かったです。勉強になりました。どの章も面白かったです。

「NというEmacs」という表現は始めて聞きましたが変ではありませんか?
開発者の半田剣一氏および電総研の方々にまったく言及されていないのが不思議に思われました。国際化の貢献度は非常に大きいと思うのですが。
また太田昌孝氏などによるユニコード批判に言及されていないのも不思議です。

昔X11の日本語入力手法の規格化などが行われたとき、片岡氏とかのグループの活動は当時アクティブなUNIXユーザから相当評判が悪かったのは確かです。現在はどういう評価になっているのか全く知りませんが、一般エンジニア的視点からも取材いただければさらに面白かったように思えました。(とかく喧嘩になりがちな話題ではありますが...)
 「NというEmacs」はご推察の通り、「NEmacs」の誤記でして、すでに「正誤表」に記載しております。Muleの開発にあたった方々のお名前を出さなかったについては、単に原稿の不備で、他意はありません。
 本書は文春新書という比較的年齢の高い文系男性を中心読者とするシリーズの一冊として刊行したので、UNIXはとりあげない、16進数は使わない、実装に関する情報は省略する等々、さまざまな縛りを設けました。
 Muleもとりあげる予定はなかったのですが、国際化を云々するのに無視するのは不適切と考え、編集部と相談した結果、最終段階になって入れることにしました。そこで急遽挿入したのが197〜9頁の記述です。
 最終段階にあたった1999年11月末から12月中旬の時期は文字コードの今後の方向を決める事件が次々と起こり、原稿を一部入れ換えたり、手直ししたり、大忙しだったのですが、その中で限られた紙幅におさめ、しかも GNU運動の背景にも言及するという欲ばったことを考えたために、意を尽くせず、結果的に虻蜂取らずになったかもしれません。

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実は、書店でタイトルに惹かれて一度手に取ったのですが、
そのときは、棚に返してしまいました。
というのは、コンピュータを使うことによって起こる
文章としての日本語表現法の変化などの話を
想像していたので、です。文字コードの話も、あっちこっちで
でていて、私もある程度自分の意見を持っていたので、
「もういいや」と思っていました。

が、Show's Hot Cornerで再び本書の題名を見かけて、
さっそく買ってみたら、自分の知らない過去の話現在の話が
たくさんあり、興味深かったです。

オンラインで書いているので、表面的な感想ですみません。
では。

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 個人的興味で、「コンピューターでたくさんの漢字が扱えればいいなぁ」と思っていたところ、「超漢字」というBTRON系OSを見つけ、その関連でHP検索をしていたおりに、貴HPを見つけ、上記本の紹介を見、本屋で探して読みました。コンピューターにおける文字コードの扱いの、歴史的観点から俯瞰したお話(と未だに解決しそうにない問題)は、傍目で見ると何か悲しいものがありますね。ユーザーの立場からだけで書かせてもらえば、できるだけ支障がない程度に自分のしたいことができれば何の問題もないと考えていますので、これからの未来に向かっては、現状の問題点がどんどん解決していってくれるもの、と期待して時々情報収集したいと考えています。
 「自分のしたいこと」がどの範囲までを指しておられるのかわかりませんが、大多数の方々、特に文系の方々は、いろいろな漢字が印字できればいいというレベルにとどまっているようです。
 本書にも書いたことですが、いろいろな漢字が印刷できるというだけでは不十分で、電子テキストとしての運用に耐える必要があるのです。そこに文字コード問題の本当の難しさがあります。

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 JISコードに関しては、すでに知っていたが、人に教える立場にあるため、入門書も時々読む。新知識を期待したわけではなかったが、国語審議会が漢字制限というより、開示廃止論が背景にあったことを知り、愕然とした。最近、野村雅昭が、聖教新聞に『漢字がなくなる日!?』という論説を発表していたが、彼の立場を知り納得した。
 単に、コードの問題だけでなく、国語審議会との絡みまで掘り下げた点で出色のできである。日本人として、一読の必要があり、他の教師にも勧めたい。最近ようやく、日本語コードに関して、まとまった基本文献が出版され、喜ばしいが、あまりにも重大な内容にも関わらず、その数が少なすぎる。一人でも多くの人がこの重大な問題に関心を持つことを望む次第である。
 野村氏には何度もインタビューをお願いしたのですが、書面による回答だけで、とうとう会っていただけませんでした。
 回答には 83JISの字形変更は常用漢字表にしたがったものとありましたが、第21期国語審議会の字体問題小委員会に呼ばれた際は、JIS原案委員会独自の判断で変更したとお答えになったそうです。詳しくは「常用漢字表とJIS X 0208の83年改正に関する文化庁の見解」という文化庁の大島有史元国語課長のインタビューをご覧ください。

 野村氏が今でも漢字廃止論と、ローマ字専用論を堅持されているのは感動的ですが、どこまで本気で書いているのか、怪しいと思っています。野村氏の最近の文章を読むと、昔にくらべて漢字の出現頻度が目だって高くなっているからです。昔の文章は、漢字廃止論者特有の仮名の多い、意味のとりにくい文体でしたが、最近のものは普通に読めます。
 文体上の転向を見るにつけ、信念から漢字廃止論を堅持しているというより、単なる意地でつっぱっているだけじゃないか……という疑いがぬぐいきれないのです。
 漢字廃止を主張するなら、戦前のローマ字会やカナモジ会の会員のように、自分の文章でローマ字専用やカナモジ専用を実践しないと、説得力がありませんね(笑)。

 本書中からは削ったのですが、ある時期までの国立国語研究所は漢字廃止論者の牙城で、「国立漢字廃止研究所」と揶揄されていたそうです。日本語のローマ字化を提言したアメリカ教育使節団の勧告で発足したという沿革を考えれば当然ですが。
 本書88ページにちらとふれましたが、国立国語研究所では新聞・雑誌の「用語調査」はおこなっていたものの、「漢字調査」はおこなっておらず、78JIS制定の際、漢字選定に直接役立つ資料を提供できなかったのは、このあたりに原因がありそうです。

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 先ほど月刊ほら貝6月30日増刊号を拝見しました。
 私は紀伊国屋書店新宿南店で本書を購入しましたが、置かれていた文春新書のコーナーにはちょっとそぐわない印象をもった覚えがあります。やはり他のところで出したほうが本書のためには良かったのかもしれません。
 内容は非常に面白いものでした。ホームページと比べると格段に読みやすいのは、体裁の違いもさることながら紙の本が全体像を把握しやすいことに因るところが大きいのではないでしょうか。ちょっと前のページを確認したいと思ってもブラウザだと面倒ですからね。
 月刊ほら貝増刊号でも指摘されていましたが、出版関係者には分かりにくいと不評だったというのはよく分かります。本書は文字コードの問題点をある程度認識している人でないと理解するのは難しいでしょう。パソコンを使ったことがない人は、第二章のASCIIコードあたりでもうお手上げではないかと思います。
 逆に、文字コードをもっと理解したいと思って読んだ人にとってはややつっこみ不足の感は否めません。事情が許すのであれば、技術的な話を端折って電子文書における大文字セットの重要性!に絞った版と、現在の文字コードの問題を中心にした版の2つを出されたほうが良かったのではないでしょうか(そうそう事情は許さないと思いますが)。
 私も編集者の端くれとして文字コードには関心を持たざるを得ませんが、DTPのレベルでは大文字セットにはそれほど意味を感じません。ない文字は作字すればいいだけだからです。将来DTPと電子文書が本当に表裏一体のものになったときに文字コードの重要性が認識されるのでしょうが、現状の出版・印刷業界はまだそこまで行っていません。DTPによって単なるデジタル化は進んでいますが、本来の電子文書を扱う形態にはなっていないのです。従来の活字や写植の感覚が残っているんですね。DTPと電子文書をつなぐものとしてXMLが取り沙汰されていますが、DTP関係者でもXMLを分かっている人はごくわずかです。おそらくオンライン出版などが普及することで内部から改善の気運が高まるのを期待するしかないのかもしれません。
 文字コードの話題はもうやらないとのこと、残念ですが仕方ありません。月刊ほら貝も楽しみにしております。ますますのご活躍をお祈りいたします。
 「DTPによって単なるデジタル化は進んでいますが、本来の電子文書を扱う形態にはなっていない」というご指摘はまったくその通りで、マスコミ人のほとんどは紙の発想から脱却できていません。漢字は一万字あれば十分などという珍妙な「反論」が説得力をもって受けいれられてしまう素地はここにあります(10年後には笑話になっているでしょうが)。

 出版界が文字コード問題の本当の重要性を理解するには時間がかかると思いますが、その間にも社会の電子テキスト化は待ったなしで進んでいきます。公文書はDTPを飛びこえて、いきなりXML化しています(霞ヶ関のお役人がどこまでXML化の意味を理解しているかはともかく)。

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中村正三郎さんのサイトの紹介で知りました。
このサイト自体は以前からよく見ておりましたが、
最近は訪れていなかったため、出版を知りませんでした。

基本的に、Webである程度知識を仕入れておりましたが、おっしゃるとおり幾
分改訂されて、さらに読みやすくなっていると思います。

感じたことを2点。
 
1.
漢字制限論というものがそんなに古くから存在して、根強いものだとはついぞ
知りませんでした。
小学生時代の漢字書取の宿題への苦痛から、漢字教育は国策だとばかり思って
いましたから。
たしかに思い返すと、当用漢字だ何だというような話を学生時代耳にした気が
ありますが。
私としては、文字コードの漢字制限論には反対です。
私は大学で中国哲学を学びまして、社会人になってから、学生時代の論文など
をパソコンでまとめようとして使えない漢字が多数あることに愕然としました。
日常使うかは別として、やはり学術用には最低でも大漢和なみの文字は欲しい
ところです。
 
2.
中村正三郎さんのページでも触れられていますが、門外漢故の多少の誤りはあ
るかもしれませんが、
この本のような総合的な視点からの(比較的)客観的な論評というものは、必
要かつ重要だと思います。
しかし、あとがきにもあるように、経済的に不利益を被りかねない方々からの
反発が根強いのだなあと感じました。
 
私はMacユーザーですので、次期OSのOS Xでの文字コードがどうなるのか、い
ささか不安を持っています。
現在より使える文字数が増えること自体はよいのですが。独自拡張ではまた規
格の乱立に一層の拍車を掛けるだけです。
本業の評論の方に戻られるということですが、出きれば何らかの形で、
文字コード問題について今後も問題を提起していって下さることを望みます。
 「中村正三郎さんのページでも触れられていますが……」というので、早速、飛んだところ、いやはや中村さんまで抗争に巻きこんでしまったみたいですね。
 もし、記述に間違いがあれば、ぼくのところに具体的に指摘してもらえれば、すぐに「正誤表に載せるんですが、中村さんのところに思わせぶりなメールを送りつけるとは、世の中、いろいろな人がいます(あまりにも面白すぎて、書くのを控えましたが、文字コードは昔から怨念ドロドロの世界です)。
 
 閑話休題。Macはわからないのですが、印刷業界とデザイン業界に一大王国を築き、多くのプロ・ユーザーをつかんでいる点が強みであり、弱みでもあるといわれているようです。
 現在、Windowsをはじめとする各プラットホームはXML化に向けて突っ走ろうとしています。MSのやることですから、WindowsのXML化はもたつくでしょうが、長いスパンで見ると、すべてのプラットホームのXML化という方向は動かないでしょう。
 Macの場合、印刷に深くコミットしすぎているために、XML化で思い切った動きはとりにくいという見方をする人がすくなくないようです。それは当然、日本語Mac版ユニコードの路線にも影響するでしょう。「噂」はいろいろ聞いていますが、あくまで「噂」ですし、この辺はいろいろ危ないので、触らぬなんとかにタタリなしです(笑)。

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勉強になりました。

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 半年ぐらい前からこのサイトを時々訪れて、文字コ−ドの問題を勉強?しています。それ以前は、雑誌でユニコードが登場時の騒動や、JIS漢字字典からJIS規格の83年改正の問題を知っていたぐらいで、それほど関心はありませんでした。
 このサイトを見始めてから、いろいろな問題点があることはわかってきましたが、全体的な話の流れは本書を読んで理解することが出来ました。特に文字コードを改善しようとしつつ複雑にしていくあたり、この問題のむずかい所と思います。また、様々な人達に関係するため、規格(技術)だけではすまない複雑さを感じました。

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**と申します。秦先生の湖の本の読者であり、中村正三郎さんのホームページの読者でもあります。

文字コードの歴史、なかなか興味深く読ませていただきました。私は、コンピュータのソフト開発を仕事としたこともあります。現在はコンサルタント的に、パソコンの使い方を指導しておりますが、一般の方には難しい内容かと存知ます。

私は本書を読み、Linuxでmuleにいっそう興味がわいてきました。いろいろ使ってみようとおもいます。最後に、加藤さんは、歴史に現れた字はすべて網羅すべきという立場でしょうか。本書の結論が見えませんのでメール頂ければ幸いです。
 原則的に言えば、「歴史に現れた字はすべて網羅すべきという立場」です。拙著にも書きましたように、コード化されていない文字は電脳空間では存在しないに等しく、情報処理できないからです。
 漢字だけで8万字の今昔文字鏡は多くの支持を得ていますし、この秋には6万6千字のGT書体も登場します。ISOの漢字連絡会でもCJKV漢字セットの大幅拡充を進めていて、「拡張A」が7千字、「拡張B」が4万2千字で、さらに「拡張C」候補の募集もはじめています。新字種の追加だけではなく、拙著の最後に書きましたように、一度統合した異体字の再分離にも踏み切っていて、ユニコード側もそれを受けいれています。
 ネットワーク社会を運営していくためには一万字程度の漢字では無理だというのは、もはや国際的な常識です。
 印刷関係の関係の一部の方々は、たくさん活字を持っている印刷会社でも一万字程度なのだから、数万字の文字セットは無意味として、激烈なGT書体批判をくりひろげました。ほとんど使うことのない巨大フォントをいれるのはユーザーに負担をしいることになるという方もいらっしゃいます。
 しかし、HDDがギガバイト・レベルに達した現在、100Mや200M程度のフォントは一般ユーザーにとってはどうということはありません。
 巨大フォントがコスト的に響いてくるのは印刷会社です。一口に明朝体といっても、商業印刷には太さ(ウェイト)の違うものを数種類そろえておかなければならないそうで、大文字セットのフォントを何種類も用意しなければならなくなると、負担できないところも出てくるようです。ほとんど使うことのない文字のフォントまで揃えていたら、経営的にやっていけないというのが、組版業者の本音でしょう。  このあたりの利害は印刷業界でも錯綜していて、組版業者に外注するような大手は例外処理のなくなる大文字セットを歓迎しているようです。大日本印刷が伝統の秀英体フォントの新版を着々と製作していて、最終的には10万字規模にするというのも、ネットワーク社会にそなえるというだけでなく、効率も考えているのでしょう。
 ただし、異体字の問題があるので、「すべて網羅」の「すべて」をどう考えるべきかに着いては留保する部分があります。法務省が戸籍の電子化にあたって、変更しなくてよいとしている人名異体字はすべて入れるべきですが、写本にあらわれる異体字や誤字となると、微妙なところです。

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これまで中国の方に簡体字でメールを送ることが難しいと聞いて、それはなぜなのかがよくわかりませんでした。その糸口が少しわかったような気がします。

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 素晴らしい本を有り難うございます。
 趣味で小説を書いていることもあり、また、仕事でもプログラミングの関係で
文字コードの制限に悩まされたことは何度もあります。一時期は文字コードにつ
いてのサイトを頻繁に回っていた時期もあり、そのころに「ほら貝」も知りまし
!た。本を読んだのはつい最近です。もっと早く手に入れて読んでおけばよかった
と思います。
 本書の通り、文字コード化されていない文字はネットワーク上では存在しない
のと同じというのは痛感しています。小説中での文学的表現が制限されるのもそ
うですが、仏教の話題を扱うときには特に苦労しました。
 今後、オンライン出版も日常的になり、PDAに文庫本をダウンロードして読
むような時代が来るでしょうが、使える文字に制限があるために原本を書き直す
というのは、作品に対する冒涜にもなりかねないと思います。
 本書を読んで面白かったのは JIS コード混乱の歴史の部分ですが、一番ため
になったのはユニコードの部分です。ISO10646 とユニコードの違いがよくわか
りました。私はユニコードには大変不満です。中途半端で利点が見い出せないと
思っていたのですが、本書を読んでその想いが一層強くなりました。
 欧米主導で導入されてしまったユニコードには、すでに限界が見えていると思
います。一時は TRON コードにも期待していたのですが、高い理想を掲げながら
現実的にはいろいろ問題があるのですね。「国際化」の名の下に実際には「欧米
化」が行なわれてきた日本ですが、真の意味での国際化が実現できるよう多言語
環境の実現は不可欠だと思います。まだ文字コードの問題からは目が離せないの
だとなと思いました。

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大変おもしろかった


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現在、通読し終わったところですが、BMPの仕組みやビット、バイトなど
はじめて接する私としては、少なからず分からないまま担っている箇所が
有ります。このあと、参考書などを見て、図などを書きながら理解して行こうと
考えておりますが、もう少し分かりやすい補足などあると、良いなぁ、と思い
ながら読みました。
文字コードの変遷などは、各国の変遷が並列した一覧表のようなものが
あれば、良いなどと、考えました。

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非常にわかりやすかったです。
ある程度は知っていたつもりであったことでも、更に理解できた気がします。

しかし、ある友人に勧めたのですが、その人は「JISはJISでまとめて書いて欲しい」
というようなことを言っていました。
私は90JISが何を指すのかよくわかりませんでした。おそらくは JIS X0208-1990 なのでしょうか…。
トピックに合わせているのでしょうが、歴史を追うのは難しくなっているのかと思いました。

年表的なもので、国内、海外の動きがわかれば良かったと思います。

大変面白かった、かつ役に立つものでした。どうもありがとうございます。

90JISは、御推測の通り、JIS X0208-1990です。
歴史の書き方についてはいろいろ考えたのですが、整理しすぎると問題の広がりと奥行が見えにくくなるので、あのような書き方をしました。

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とても楽しく読ませていただきました。
学生にも勧めていきたいと思います。


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現在文字コード問題について研究していこうと考えている者です。この問題に
言及している書物がなかなか見つからず、なかなか体系的に理解しづらい問題
でしたが、この本を手引きとして研究を進めてゆきたいと考えています。

文字コードにとりくもうという方があらわれたのはうれしいです。文字コードは以前ほど話題にならなくなりましたが、まだなにも解決していません。
来年は表外字問題と住基ネット問題で、荒れそうな雲行です。健闘を祈ります。

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ずいぶん前からこのサイトのことは知っていて時々利用していました。
文字コードのことは気になってはいたのですが、歴史的背景も含めて素人には
大変難しく、また断片的な知識しか入ってこないため敬遠していたところ、
加藤さんがこの問題を1冊の本として出されたということで買って読みました。
一度読んだだけではわかりづらいこともたくさんあったのですが、このサイトや
ほかの資料にも当たりながらちょっとづつ理解していきたいと思います。

文字コードがわかるかどうかは、コンピュータ用語に通じているかどうかではなく、コンピュータの中の文字は紙の上の文字とは別物だということに気がつくかどうかにかかっています。別のリアリティをもった、別の存在だということに気がつけば、一気にすべてが見えてきます。

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非常に面白く、有益な本をありがとうございました。

昨年、文字コード関係で有益な本が出ているという話は、聞いたことがあったの
ですが、その時は、聞き流していました。
今回、LaTeXで、文字鏡を使おうとしたことをきっかけに本書に出会いました。
長年、場当たり的!にしか理解してこなかったため、混乱していた頭が整理でき
ました。

そのほかに、いろんな「副産物」があって、「お徳」な著書でした。
(1)気になっていたことが、クリアになって、ストレス解消にもなりました。
(2)本書を読み、文字コードの問題とグリフの問題を切り分けることが出来た
ので、グリフやグリフ・イメージの理解にも役立ちました。
(3)また、以前、知り合いの印D・・ミの人に、写研フォントの話を聞いたら、
いやな顔をされたのですが、その理由もおぼろげながらわかるようになりま
した。

まだまだ、副産物がありそうで、何度も読み返すことになりそうです。

なお、上記で、「やや難しい」と答えましたが、これは批判ではありません。
これだけややこしい問題が扱われているのだから、もっと難しくても当然だ
と思います。

拙著がお役に立てて幸いです。
「お徳」といってもらえるのはうれしいです。最終ゲラまで、削除と加筆を繰りかえしただけのことはあったようです。
ただ、ぎりぎりまで原稿をいじっていたので、大量の誤植が出てしまいました。万一増刷するようなことがあったら(まあ、ありえませんが)、直したいと思います。

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他の書評にもある通り、このようなコンパクトな本によくここまでまとめられ
た、と感心しております。残念ながら、まだ十分に読みきっていいません。
読み流すことは出来ても、書かれていることを十分咀嚼して行かないと
もったいないと思い、少し読んでは、少し間をおいてから、又読むという
プロセスを繰り返しています。かつて、私も小論文を書いたことが
ありますが、たった1行の文章にも沢山の背景があり、それらの背景にある
情報をどのように、表現したら良いか、ずいぶん悩みました。この本の裏側に
ある多量の情報を上手に取捨選択され、とにかくコンパクトな本にまとめられ
た手腕にまったく敬服致します。素晴らしい本を 92供叡さったことに心から感謝
致します。
 

ご協力ありがとうございました。
Copyright 2000 Kato Koiti
This page was created on Jun30 2000; Updated on Feb06 2001.

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