エディトリアル   November 2004

加藤弘一 Oct 2004までのエディトリアル
Dec 2004までのエディトリアル
Nov01

「アイ、ロボット」

 アシモフの原作とは似ても似つかないアクション大作で、それなりに面白かった。

 原作は黒人奴隷対白人の対立を下敷きにして、ロボット対人間の対立を描いていたが、ウィル・スミスをロボット嫌いの熱血刑事にしたのは、どこまで原作を意識してのことだろう。ケルビン博士を若返らせたのは結構だが、添えものの域を出ない。

 はぐれ者がシステムの欠陥を救うという話になっているが、悪い中央コンピュータをやっつければ、従順なロボットにもどるという結末は一昔前の発想である。クライアント・サーバー・コンピューティングの考え方を消化した作品はまだあらわれないのだろうか。

Nov07

 わずか半月ほどの間に、台風、地震、人質事件、大統領選挙と今年の十大ニュースにはいりそうな事件がつづき、更新するタイミングを逸したまま、時間がたってしまった。

 今の時点でふりかえってみると、三つの事件とも、ネットの台頭と左翼的なマスコミの凋落を示している点で共通している。

 台風と地震ではマスコミの無神経な取材や傲慢な振舞に対する批判がネットで広まった。援助物資がとどく前の被災地で、報道陣が電池や飲食物を買い占めたという話は、ソースが2ちゃんねるだとしても、無視できないし、10月26日には孤立地区にはいりこんだ報道関係者6人が航空自衛隊のヘリコプターに救助され、県から抗議されるという笑うに笑えない一幕もあった。

 香田証生さんの人質事件だが、犯行声明と首切断映像がネットで流れたのはご存知の通りである。

 NHKが9月に放映した「情報聖戦」によると、テロリストのネット利用は驚くほど進んでいて、アルカイダ傘下のエキスパート集団が次々とジハード・ビデオを製作してはネットに流し、それを焼きこんだCD-ROMやDVDがアラブの市場で安く売られている。一度ネットに流してしまえば、流通ルートはたどりようがない。

 番組ではジハード・ビデオの一部が紹介されたが、9.11事件のオマリ容疑者の遺言ビデオや、爆薬を積んで突っこんでいく車の中から携帯電話で撮影した映像まであって、こういう刺激の強い映像を見たら、自爆テロ志願者はいくらでも出てくるだろうと背筋が寒くなった。

 一昔前だったら、こうした映像を作るには高価な機材と熟練が必要だったが、今は家庭用の機材とパソコンで簡単に作れてしまうのだ。

 アメリカの大統領選挙では、アメリカの新聞、TVはこぞってケリー支持を表明し、日本のマスコミもあからさまにケリー贔屓の報道をおこない、「伯仲」といいながらも、ケリー当選を暗示しつづけたし、投票直前にはケリーの地すべり的勝利を予想するメディアまであった。

 しかし、結果はブッシュ大統領の勝利。それも350万票以上も上まわる票を集めている。大統領選挙で得票率が50%を越えたのは1988年以来だというし、同時におこなわれた下院選でも共和党が圧勝した。マスコミの世論誘導は完全に失敗した。

 blogの世界ではマスコミと逆にブッシュに対する支持が多かった。ダン・ラザーによる軍歴疑惑報道がでっちあげであることを暴いたのもblogだったし(CNETがよくまとまっている)、あまり感心できないが、ケリー氏がユダヤ系であることを指摘し、ケリー支持に水をさしつづけたのもblogだった。なお、むなぐるまの「大統領選についての私的総括」は、ブッシュ支持層がマスコミのいうような「福音派」「宗教右翼」だけではないことを簡潔に考察しており、興味深い。

Nov11

 「ほら貝」も創刊9年目をむかえた。記念として『朝倉漢字講座5』に寄稿した「インターネットと漢字」を公開する。

 現役の商品として売られている物をネットに出すことに躊躇はなくはなかったが、発行部数がわずか三桁(!)であり、ほとんどが図書館にはいるらしいので、この機会に掲載することにした。第四章の「異体字と符号化対象」は文字コードの理論的考察としておもしろいものになっていると思う。

 ADSLにしてずっと順調にアクセスできていたが、先月29日を境に、突然、アクセスできない時間帯が生まれてしまった。

 朝の始業前時間帯と夕方の終業後の時間帯、そして深夜なのだが、一番トラフィックの増大する時間帯は正常にアクセスできた。土曜、日曜はアクセス不能の時間帯が拡がり、その中で何度もトライしていると、突然、開通したりする。こういうのが一番ストレスがたまる。

 空いているはずの時間帯にアクセスできないので、メンテナンスかと思ったが、プロバイダのメンテナンスの告知にも載っていなかった。プロバイダに問い合わせたが、最初の返事はすぐに返ってきたものの、その後は埒が明かない。

 tracertで経路を調べたところ、最初に通過するプロバイダ(加入しているのとは別の会社)でつかえているらしい。空いているはずの時間に問題が起こっているので、その会社にSPAM業者が巣くっているのではないかと疑っているが、真相はわからない。

 思うようにアクセスできなくなって、自分がどれだけネットに依存しているかがわかった。新聞がわり、辞書がわり、百科事典がわり、地図がわり、地下鉄路線図がわり、ぴあがわり……とネットなしでは二進も三進もいかないところまで来ていたのだ。

 回線速度はADSLで不満はなかったが、つながらないのではしょうがない。そろそろ光回線に乗り換える時期なのか。

Nov15

 平壌で日朝実務者協議を終えた代表団が、コンテナ7箱とともに帰ってきた。拉致被害者死亡の「物証」とされる品々がはいっていたのは1箱だけだそうだが、その「物証」なるものは相当怪しげである。

 横田めぐみさんの「遺骨」と称する火葬した骨もふくまれていたが、土葬した骨を夫と称する人物が二年半後に掘りだし、自分で火葬して身近に置いていたという説明がくっついている。もうちょっとましな作り話は考えられなかったのかと、あきれるしかない。

 政府は遺骨のDNA鑑定をおこなうそうだが、DNA鑑定はきわめて鋭敏なため、考古学調査などでは、過去の人骨に別のDNAが混入して、とんでもない結果が出ることがあるという。十分焼いてDNAを消した人骨を、めぐみさんのDNAをとかした水に漬けこんでおけば、めぐみさんのDNAを検出させることも不可能ではないだろう。骨のDNA鑑定は盲信しない方がいい。

 めぐみさんの夫と称する人物はめぐみさんと結婚した経緯等々は一切語らず、写真撮影も毛髪の提供も拒否したという。理由は秘密工作機関に属しているからだそうだが、毛髪の提供も拒んだということは、彼も日本人拉致被害者ではないかという疑惑を一層強める結果となった。

 拉致被害者の中には、加瀬テル子さんの夫とされる人物のように、北朝鮮に洗脳され、積極的に秘密工作にかかわり、高い地位をえた人間がすくなからずいるものと思われる。めぐみさんの夫とされる人物も、洗脳された拉致被害者の可能性がある。

 北朝鮮が拉致被害者を死亡したと頑なに主張しているのは、秘密工作機関と、日本国内に構築した北朝鮮工作員網を守るためだろうと思う。帰国することのできた蓮池さん、地村さんは工作員養成にたずさわらなかったか、たずさわったとしても、教え子が日本国内に潜入していなかったのだろう。

 拉致被害者をとりかえすことは、日本国内にはびこる北朝鮮工作員網を解体することにつながる。拉致問題は被害者家族だけの問題ではなく、日本の安全保障に直結しているのである。

Nov27

 NHK特集「ローマ帝国」第二集を見た。ポンペイの落書を中心に都市の繁栄の光と闇を描いたもので、よくまとまった好番組だった。

 満腹した後、さらに食べつづけるために吐く貴人を描いた壁画や、食べ散らかして捨てた食物を描いた床モザイクなど、まさにフェリーニの『サテリコン』の世界だ。ペトロニウスの原作は、昔、筑摩の全集で読んだことがあるが、数年前、岩波文庫から新訳が出ている。フェリーニの『サテリコン』を再上映で見た際、新しい翻訳で再読してみようと思ったが、まだ果たせないでいる。

 ポンペイの落書については本村凌二氏の『ポンペイ・グラフィティ』という新書がおもしろかったが、ずっと品切になっている。新書なのになぜだろうと思っていたら、昨年、別の出版社から『優雅でみだらなポンペイ―古代ローマ人とグラフィティの世界』という単行本が出た。

 目次を較べるとわかるが、ポンペイの発掘の歴史を簡単に述べた序章をつけただけで、本篇はたいして変わっていない(多少加筆されているが)。

 単行本が新書や文庫になるのは普通だが、新書が別の会社から単行本として再刊されるのはめったにない。それだけの本だとは思うが、若干引っかかるとろこがある。

 NHKの番組ではポンペイ落書研究の第一人者であるアントニオ・ヴァローネ博士が本村氏の本に出てこないジャンルの落書を紹介していた。せっかく再刊するなら、もっと大幅に加筆してもよかったのではないだろうか。

Nov28

 ブッシュ再選以来、対米批判をひっこめていた北朝鮮だったが、訪朝した国連総会のビン議長に「米国と共存したいとの意思を(米国に)伝えてほしい」と依頼していたことが明らかとなった(時事通信)。

 そのすこし前、16日にはタス通信が外国人の出入りする場所から金正日総書記の肖像画が撤去されていると報じ、他のメディアも確認した。金一族の履歴の嘘を暴いたビラが流布し、体制批判のポスターが貼りだされたというニュースも流れ(朝鮮日報)、一時は金正日失脚かとマスコミが色めきたった。その後、金正日の指導力は健在で、ただちに崩壊につながるわけではないことがわかってきたが、なにかが動きだしていることは確からしい。

 事態は進行中だが、一応の材料が出そろったこの時点で、問題を整理しておきたい。

 まず、肖像画だが、撤去が確認されたのは外国人が多く出入りする場所に限られ、一般民衆の目にふれる場所では依然として金日成の肖像画とならべて掲げられている。また、海外公館の職員と貿易関係者の胸の金正日バッジもはずされていることが確認されている。

 撤去を命じたのは金正日自身で、一昨年から昨年初めにかけて指示が出ていたことが、脱北外交官の証言であきらかになっている(朝鮮日報)。朝鮮総連に対しては2002年に撤去の指示が出ていて、すでに朝鮮学校の教室では金日成、金正日父子の肖像がはずされているという。

 将軍様じきじきの指示が出ていながら、これまで国内で誰も撤去しなかったのは、忠誠心を疑われるのを恐れてのことだと思われる。1970年代後半に、やはり金正日自身が自分の肖像画を撤去するように指示したが、それを真に受けて撤去した人間は収容所送りになった。そういう前例がある以上、忠誠心のテストと受けとるのは当然である。

 外国人の出入りする場所限定とはいえ、なぜ、今度は本当に肖像画を撤去させたのだろうか?

 対外的なイメージアップといわれているが、はたしてそうか。いくら肖像画をはずしても、監視員を兼ねるガイドが旅行者にべったりはりついているようでは、異様な国という印象が薄らぐことはない。

 RENKの李英和氏は撤去は対南工作の一環だと推測している。「北朝鮮はインターネットで韓国向け宣伝を展開中だが、金総書記への過剰な称賛は若い世代に嫌悪感を与え、効果が半減すると判断している」というわけだ(Sankei Web)。

 わたしは中国の意に沿うという意味あいが強いのではないかと考えている。そもそも金正日に個人崇拝をやめるように迫っているのは、中国だからだ。

 鄧小平の改革開放路線以後、中国の指導者は北朝鮮に経済を開放し、個人崇拝をやめるようにたびたび勧告している。特に権力の世襲には一貫して反対しており、金正日を後継者に決める際は、金日成が「一代限り」と頼みこんだので、やむなく了承したと言われており、当然のことながら、次の世襲には不快感を隠さない。

 昨年、金正日が肖像画撤去命令を出したのは、個人崇拝をやめる努力をしていることを中国に見せ、世襲への地ならしをする意図があったのではないかと思われる。今回、本当に撤去したのは、4月の金正日本人の訪中や先月の金永南最高人民会議常任委員長の訪中と無関係ではあるまい。北朝鮮はごねにごねて、6者協議のホスト国である中国の面子をつぶしてきた。日朝関係が冷えこんでいるので、中朝間の貿易は増えているが、中国は無償援助を絞りはじめている。金正日はそろそろ中国の御機嫌をとっておかなくてはまずいと判断したはあるまいか。

 しかし、北朝鮮が中国の勧めどおりに個人崇拝をやめ、軟着陸できかどうかは疑問である。

 朝鮮中央放送は、17日の時点では、金正日にそれまでつけていた「わが党とわが人民の偉大な領導者」という敬称をはずしたが、20日には早くも復活させていたという(Sankei Web)。

 肖像画やバッジなら、外国人向け限定でとりはずすことができるが、放送はそうはいかない。敬称を復活させたのは、国内の動揺を恐れたからと受けとるしかない。おそらく、民衆の間にはりめぐらせた密告網が、敬称省略のまねいたなんらかの徴候をつかんだのだろう。

 実際、朝鮮中央通信は、28日、撤去問題をとりあげ、「わが当該部門はすでに、こうしたことは発生したこともなく、今後もあり得ないということを明らかにした」と肖像画撤去の事実を全面否定している。外国人の出入りする場所には志操堅固なエリートしかはいれないにしても、こうまでして一般民衆に撤去の事実を隠しているのは、軟着陸は無理だとわかっているからだろう。

 体制批判ビラだが、「金日成・金正日の十大うそ」と題したもので、北朝鮮製のざら紙にボールペンの手書きで書かれており、平壌、南浦、中朝国境の新義州、北部の清津、北東部の咸興などの都市部を中心に約50ヶ所で流れている。手書きなのは受けとった人が筆写して広めたからだという(Sankei Web)。内容はこんな具合だ。

「金日成は富農の出身で、朝鮮労働党の階級路線からいえば敵対階層だ。万景台の生家は収穫期には小作まで雇い、金日成は小学校に自転車で通っていた。この資料は朝鮮労働党中央委員会歴史研究所資料室に保存されている」

 「金正日はユーラという名前でソ連国籍を持っていた。解放後、ソ連艦で帰国したソ連縁故者であり、(党の路線では)監視対象である」

 このビラを入手したのは黄長燁氏とともに脱北した金徳弘氏で、北朝鮮国外では周知の事実でも、北朝鮮国内では「研究機関などに出入りしなければ把握できない高度な内容」であるために、ビラを流したグループは党、軍、保衛部など政権中枢にも人脈を広げているとしている。なお、金氏は他に二種類のビラを入手している。

 これが事実なら大変なことであるが、26日になって、在米韓国人ジャーナリストの孫忠武氏が、問題のビラを配布したのは自分たちのグループだと名乗りでた(ZAKZAK)。

 ZAKZAKによると、孫氏のグループは中朝国境沿いにレストランを3軒作り、北にもどる脱北者に米、ドル札、聖書をわたしてきたが、その聖書の中に体制批判ビラを忍びこませていたのだという。これまでに配布したビラは6種類で、「金日成・金正日の十大うそ」は5番目にあたる。

 結局、党、軍、保衛部など政権中枢に人脈を広げた反体制グループは、幻だったようだ。

 しかし、国外から持ちこまれた6種類のビラのうち、すくなくとも3種類が筆写され、北朝鮮国内で流布しているという事実は重い。ビラを入手した金氏が伝えた政権中枢の反体制グループがビラを作ったという説は、ビラとともに北朝鮮国内に広まりつつあるのだろう。ビラそのものを目にした人はすくなくても、その何十倍もの人が、政権中枢の反体制グループが、金一族の経歴の嘘をあばいたビラを流しているという噂を耳にしているに違いない。その影響は、これからじわじわと出てくるはずである。

Nov30

 North Korea Todayによると、RFA(自由アジア放送)は、韓国、中国、ロシア、モンゴル、カザフスタン、日本の6つの脱北者団体の代表が今月19日に東京で「反金正日国際会議」を開き、来年3月を目途に北朝鮮亡命政府を設立することに合意したと報じた。RFAはアメリカ政府が資金を出しているアジア向けラジオ局で、現在、中国語、ウィグル語、チベット語、朝鮮語、ビルマ語、クメール語など、9の言語で放送をおこなっている。

 東京で「反金正日国際会議」が開かれていたとは初耳だが、亡命政府の話は26日付ZAKZAKの孫忠武のインタビューでもふれられていた。

 この動きの背景にあるのは、アメリカの北朝鮮人権法のようである。北朝鮮人権法は上下両院で満場一致で裁決され、ブッシュ大統領が署名したことで、来年から発効するが、

  1. 脱北者の保護と受け入れ
  2. 脱北支援と民主化支援団体の活動支援
  3. 北朝鮮ラジオ放送の支援増強

という三つの活動を柱に、4年間で2400万ドル(25億円)の予算が投じられる。

 アメリカは北朝鮮国外で活動する反金日成団体を大同団結させ、北朝鮮人権法の実働部隊として使う意向のようで、亡命政府設立はその話しあいの過程で出てきたらしい。

 ZAKZAKは「大量の脱北者を受け入れるため、アジアの第3国での「脱北収容センター」の建設も計画している」と伝えているが、このセンターはどこに作られるのだろうか? SAPIO(11月24日号)に掲載された李英和氏の「「北朝鮮人権法」は金正日体制の心臓を射抜く」によると、それは中国だという。

 脱北者狩りに躍起になっている今の中国を見ると、にわかに信じられないが、李氏の記事にはこうある。

 法案作成の動きがかすかに見え始めた頃、私は米国国務省関係者に質問した。「中国政府の協力なしに作戦構想の実効性があるのか」と。答えは「実現の見込みのない法案は作らない」「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)を使って中国政府を動かす」というものだった。この点は北新法に明確に反映されてる。UNHCRの「基本的責任」として、「もし中国政府が領土内の脱北者との接触を拒否」した場合、「ただちに動議を発動し裁定官を指名する」と。つまり、米国の圧力に屈するのではなく、国際機関に協力するという形式で中国政府の面子を立てるという仕掛けである。

 中国領内に脱北者村を作るというのは、黄長燁氏の金正日体制打倒構想の通りだ。北朝鮮人権法は黄構想に沿ったものだと考えていいだろう。

 脱北者村はともかく、亡命政府構想にアメリカがどこまで肩入れしているかは不明である。だが、RFAが報じた以上、暗黙の了解はしているはずであり、その影響は大きい。

 ここからは憶測になるが、アメリカは金正日体制が崩壊した後も、北朝鮮を中国との緩衝地帯として存続させるシナリオを考えているのではないだろうか。南北統一が数十年後に先延ばしされるなら、中国と韓国が北朝鮮の体制変更を受けいれる可能性は大きい。

 金正日と取り巻きが排除され、核を完全に放棄するなら、北朝鮮には国際的な援助が集まり、国民が餓死することはなくなる。幸い、北朝鮮はイラクと異なり、民族対立も宗教対立もかかえておらず、金正日にも人望がないので、内戦の危険はない。食料がゆきわたり、内戦が起こらなければ、難民の大量流出は起こらないだろう。脛に傷もつエリート層の亡命はあるだろうが、せいぜい数千人規模である。

 北朝鮮人権法が実際に効力を発揮しはじめるのは来年からだが、影響はじわじわとあらわれはじめている。来年の今頃には、金正日は裁判にかけられているかもしれない。

最上段へ
Oct 2004までのエディトリアル
Dec 2004までのエディトリアル
Copyright 2004 Kato Koiti
This page was created on Nov05 2004.
サロン ほら貝目次