先日、木冬社の芝居を見にいったら、文芸文庫の W編集長とばったり出くわしました。知人とロビーで出くわすということはままあることですが、席が同じ列の通路をはさんだ隣という偶然中の偶然。こうなると、立派なシンクロにシティですね。
どういうわけか、演劇関係ではシンクロニシティが起こることが多く、しかもシンクロニシティの前後にはいい舞台にぶつかります。
木冬社の「リターン」は後半がすばらしかったですが、本当にすごかったのは、二日後に見た蜷川幸雄の「身毒丸」でした。20年以上芝居を見てきましたが、ベスト3にいれていい歴史的な名舞台でした。カーテンコールでは手が痛くなるくらい拍手しましたが、それでも拍手は鳴りやまず、外国だったらスタンディング・オベーションになったでしょう。
文芸文庫ですが、W編集長になってからこの 7月で 2年目ですが、この間、種まきがすすんで、秋口からいよいよ収穫が出てくるそうです。詳しくは書けませんが、ヨーロッパの古典の新訳や近代日本文学のアンソロジーが目白押しで、あっと驚くようなラインアップでした。今年になって、名訳の評判の高い『鳩の翼』や『アブサロム、アブサロム!』が既存の全集から文芸文庫にはいり、翻訳物に力を入れるのかなと思っていましたが、最新の研究成果をとりいれた新訳を準備していたとはすごいです。出版界以外の人にはなかなか理解できないようですが、いい本を出すには時間がかかるんですよね。
閑話休題。新拡張JISの収録予定漢字がいよいよ公開されました。PDFファイルで 5Mバイトあり、先ほどダウンロードをおえたところです。
1999年度中に施行予定とありますが、2000年度にずれこむという話や、ベンダーによっては、新拡張JISに対応しないところも出てくるというような話まで聞こえてきます。もし、そういうことになったら、単なる外字ライブラリーになってしまうわけで、もう目茶苦茶です。工業標準化法のあり方を考えなおすべき時期に来ているのではないでしょうか。
なお、JCS委員会では「新JIS」という呼称をしていますが、ずっと「新JIS」と呼ばれてきた 83JISと混同するおそれがあるので、本サイトでは「新拡張JIS」という呼称で通すことにします。
「電子書籍コンソーシアム」の推進役の鈴木雄介氏のインタビューを「電房具案内」に載せました。新聞の短い報道ではわからないことがいろいろわかって、有益なページになったのではないかと思います。プロジェクトの立ち上げで一番お忙しい時期に時間をとってくださった鈴木氏に感謝します。
実はインタビューの原稿が二本、ペンディングになっています。一つは早大の「国際化・多言語化テキスト処理プロジェクト」を進めておられる片岡裕さんにお願いしたものです。オフレコ情報満載でひじょうにおもしろいのですが、あまりにもおろしろすぎて、そのまま載せるわけにはいきません。どうまとめたらいいか、頭をかかえています。
もう一本はユニコード技術委員会の某氏とやりとりしたメールをインタビュー形式にまとめたものです。途中までは某氏も乗り気だったのですが、ある時点から、ばったりメールの返事が来なくなりました。来年出てくる Unicode3.0の内容や、背景になっている考え方がわかっておもしろいんですが、承諾がないので掲載することができません。
インターネットや文字コード問題はきな臭い部分がいろいろあって、動向いかんでは何千人、何万人が職を失ったり、外国の場合だと、それ以上の影響をこうむったりしかねないんですね。表面の議論だけを見ていたらわからない部分があって、政治・経済の観点を意識的に導入しないと、本質を見失います。
Windows98が発売になって、かなり売れているようです。某編集部のご厚意で、二か月ほど前からβ版の後の版を使っているのですが、Outlook Expressを使いさえしなければ、Windows95よりもはるかに安定しています。特に Dos窓が堅牢になっていて、この二か月間、Dos窓が落ちたことは一度もありません。おかげで、また Vzエディタにもどってしまいました(笑)。
それはさておき、アクティブ・デスクトップを使っていると、インターネットが境目なしにディスプレイの中にはいってきて、世界が無理やり広げられてしまいます。
Windows98の普及で、インターネットはさらに生活の中にはいりこんでくるでしょう。インターネット革命はいよいよ本格化するはずです。
今日、渋谷に出るために、表参道で半蔵門線に乗り換えたところ、目の前に文芸文庫のW編集長が立っていました。先日、シアターXで通路をはさんで隣りあわせの席にすわったばかりだったので、あまりの偶然つづきに双方呆然。まさにシンクロニシティです。
W編集長は、阿川弘之編の『志賀直哉交友録』という新刊(8月10日発売)の見本刷りを、志賀家にとどけにいくところでした。念のために書いておくと、阿川弘之氏は、最近は阿川佐和子の父として有名ですが、志賀直哉の最後の弟子で、岩波版全集を編集した志賀直哉研究の第一人者です。最近、文庫にはいった上下二巻の志賀の評伝はすでに基本文献ですね。
『志賀直哉交友録』は、その阿川氏が志賀のエッセイから友人に関して書いたものを選んで一冊にしたもので、目次を見ただけですが、意外な名前がならんでいたりして、読書欲をそそります。全集を通して読むなんてなかなかできないですから、しかるべき編者が選んだアンソロジーはありがたいです。
W編集長は『セブン・イヤーズ・イン・チベット』に登場するチベット高官そっくりの風貌をしている方で、こうも偶然がつづくということは、つん読状態で10冊ほどたまっているチベットの本を読めということなのかなと、駅を出ながら考えました。
そろそろ、インターネットに飽きてきていて、更新もさぼりっぱなしですが、カウンターがいつの間にか五万を突破していました。使っているのは Counter Digits社の無料カウンターで、時期によって 3〜10%のカウント洩れがあり、単なる目安にすぎないんですが、まあ、めでたいことです。
今、戸籍事務のコンピュータ化と人名異体字の問題を調べていて、首都圏の某自治体にインタビューを申し入れているんですが、官僚主義というか、ほとんどカフカの『城』の世界です。
それとは別に、ホームページを開いている全国の一千近い自治体に、コンピュータ化の現状のアンケート・メールを送ろうと、アドレスを収集しているんですが、これがけっこうめんどくさいですね。トップページにメール・アドレスを明示しておいてくれればいいのに、あちこち探しまわらなければならないところが少なくなく、中には世田谷区や三鷹市、東久留米市のように、一切メールを受け付けないところまであります。
ページ製作は外注が多いみたいで、デザインがそっくりのところがけっこうあります。武蔵野市あたりはお金をかけてますね。そうかと思えば、中野区のように、職員のパソコン・ヲタクが手作りでやってそうなところもあります。
アクセス数は数千から数万というところですが、日の出町のように、わずか 300というところもありました。かわいそうだと思う人は、日の出町ページを訪問してやってください。
今朝の日経新聞文化面に、詩人としていち早くWWWページを立ちあげられた鈴木志郎康さんが、「ホームページの表現で、早くも壁にぶつかる」という文章を発表されています。
鈴木さんは「二年半経って、日常化して、繰り返しをやっている気分になってきた。そろそろ飽きてきたのかとも思うが、そうではなく、ホームページの表現は何か違うぞ、という思いも一方にある」と書かれています。
なにが表現の問題なのかというと、鈴木さんは「詩の雑誌に掲載されたのであれば、詩人も定年を話題にしたりすると興味を引くこともあろうが、ホームページでは只の個人生活の子細にしか過ぎない」ことをあげられています。
詩人として書いたつもりの文章が、ただのオヤジの書いた身辺雑記と受けとられ、ひじょうに個人的な関心からのメールが来る。詩人としての発言が、個人的な発信=受信の枠組にはまってしまう。「それだけでは、何だかつまらなくなって、飽きてきた」というわけです。
同じ飽きたでも、ずいぶん違うなと思いました。鈴木さんが言われているのは、「肩書」の問題ではないかと思います。活字媒体が保障していた「専門家としての立場」、「読者との接し方」がWWWでは御破算になる。それを「表現の新しい局面」として向かっていかなければならないと思う反面、しんどくもあるということでしょう。
書き手にとって不本意な読み方をされるのは、活字媒体でも同じだと思います。ただし、活字の場合だと、わざわざ作者の住所を調べて手紙を出すのはめんどくさいので反応が見えないのに対し、インターネットではクリックするだけでメーラーが立ちあがり、簡単に送信できるというだけの違いです。
つまらない反応しか返ってこないとしても、きちんと受けとめた読者がいないことにはなりません。すくなくとも、そうとでも思いこまない限り、WWWなんてやってられません。
それは置くとしても、興味を持続するために、なにか新しいことをはじめようと考えています。負担にならない範囲でできる新しいことは、なにかないでしょうか。
閑話休題。トップページにも書きましたが、操作の間違いで、昨日(10月17日)の14〜23時の間にいただいた11通のメールを消してしまいました。もし、お心当たりの方がいましたら、ご面倒でも再送してください。よろしくお願いします。
文芸ホットリストは、毎月チェックして、リンク切れのないようにすると公約しましたが、当初、使う予定だった「波乗り野郎」がこうした用途には向かないこともあって、ほったらかしがつづいていました。
最近、ある読者の方から、リンク切れが多すぎるという苦情と、A-Scopeというツールがチェックに向いているというご教示をいただきました。今日、思いたって、A-Scopeをダウンロードし、使ってみたのですが、バックグランドで動かしておいたら、30分ほどで巡回が終わりました。これなら毎週だってできそうです。
文芸ホットリストには 238のページを掲載していたのですが、実に 23がリンク切れになっていました(怪しいのがさらに五つほどあります)。今月にはいってメールのご指摘で七つほど削ってますから、1/8がリンク切れになっていたわけです。長続きしそうなページを選んだつもりだったのですが、WWWははかないですね。
URLの電話帳みたいな本が書店に並んでいますが、本になった時点で数パーセントはリンク切れがありそうです。一年もたったら、10〜20パーセントは無効でしょう。そもそも、あの小さな欄に手でURLを入力するなんていうめんどくさいことをやる人がいるということ自体、信じられないのですが、どういう人が買っているのでしょう。
閑話休題。つながらなくなったページには、惜しいと思うところがいくつかあります。
「演劇ホットリスト」を一年ぶりに更新しました。一年半以上ほっておいたために、ここも二割近くリンク切れになっていました。寂しくなったので、いくつか補充しましたが、演劇関係はいいページがいくつもできていました。
問題は「WWW上の安部公房」です。一応、A-Scopeでチェックしたんですが、四割近くリンク切れになっていて、確認する意欲がなえてしまいました。
「文芸ホットリスト」と「演劇ホットリスト」は多くの候補の中から厳選して載せていますが、安部公房リンク集の場合、サーチエンジンで引っかかったものを、あまり選ばずに載せていったので、こういう結果になったのでしょう。
ゼロから作り直すつもりでやらないと無理なので、「WWW上の安部公房」の更新は来年になるかもしれません。
「文字コード問題ホットリスト」の更新もありましたね。こっちも来年かな。
目次ページやホットリストのレイアウトを模様替えしました。といっても、Netscapeや InternetExplorerでブラウズしている方には、どこがどう変わったかわからないと思います。実は、Lynx向けに直したのです。
Lynxは、まだ Netsccapeも Internet Explorerも影も形もない時代から使われていた、テキスト・ベースのブラウザです。
テキスト・ベースですから、画像は表示できませんし、文字の大きさもすべて同じです。リンク先への移動も、マウスで下線の引いてある語をクリックして、という具合にはいきません。リンク語からリンク語へは「↓」「↑」で、リンク先には「→」で、前ページにもどるには「←」で、という具合に、すべてキーボードで操作します。ほとんど、シーラカンスのようなブラウザですね。
本家のシーラカンスの方は、最近、フィリピン近海で棲息が確認されたとかで、意外に広い範囲で生き残っているらしいとニュースになりましたが、Lynxもかなり使われているようです。ローラ・リメイの『HTML入門』の新版でも、画面の見え方の例として、Lynxと Netscapeの二つが並置されていますし、日本語版サポート・ページを見て驚いたのですが、最新版は四日前(!)にアップロードされたばかりでした。
以前、Lynxをお使いの方から、「ここは Lynxでも読めるページだと聞いてきたが、タグの使い方がおかしくて、読みにくいじゃないか」と苦情をいただいたことがあり、ずっと気になっていたのですが、間もなく三周年をむかえることだし、Lynxでもちゃんと表示できるように、タグの使い方を見直しました。まだ、すべてのページを直したわけではありませんが、かなりましになったと思います。
Lynxには大学などで、しかたなく使っている人の他に、熱烈なファンもいるようです。しかし、テキスト・ベースなのに表示速度は Nescapeに負けているし、画像や Javaをふんだんに使ったページではお手上げだし、シーラカンス的印象を受けます。しかし、真空管ラジオのような味わいがあるのも確かで、同じシーラカンスどうし、文芸サイトには向いているかなと思っています。
2Mバイトの空きあればインストールできますから、興味のある方は上記のサイトからダウンロードしてみてください。もちろん、無料です。
ほら貝は創刊三周年をむかえました。先ほど Counter Digitのカウンターを見たところ、通算 53795アクセスありました。この一年間で約1万9千アクセスあった計算です。去年も約1万9千アクセスでしたが、取りこぼしのないローカルなカウンターを使っていたので、今年の方が10〜15%多いと思います。微増というところでしょう。URLを移動したので、減るかと思っていたのですが(実際、最初の三ヶ月は減りましたが)、持ち直したようです。
旧URLにカウンターを残してあるんですが、引っ越して七ヶ月もたつというのに、いまだに一ヶ月400〜500アクセスあります。旧URLにリンクしていただいているサイトは、逆探知で探して、URL移転のご挨拶を送っていますから、この数は理解に苦しみます。
調べたところ、意外なことがわかりました。サーチエンジンで見つけて来る人がこれだけいたのです。トップページ以外のページにも、サーチエンジン経由でかなりのアクセスがあります。
gooで「日本語のサイト」という条件で「ほら貝」を検索するとわかりますが、旧URLしか出てきません。jpドメイン以外のページをはじいているんですね。「海外のサイト」という条件で「ほら貝」を検索しようとすると、一件も出てきません。日本語を受けつけないのです。
gooを運営している人たちは、日本語のページは jpドメインにしかないと思いこんでいるようです。Asahi.comをはじめとして、コスト的理由から海外のサーバーを使っているサイトは多いですし、海外在住の日本人が海外ドメインで日本語ページを開いているケースもあります。そうしたページは gooでは引っかかりません。
ちなみに、最近、評判のいいInfoseekや、老舗の日本語版Alta Vistaでは検索できます。
閑話休題。創刊三周年を期に、メールマガジン「月刊ほら貝」を創刊しました。詳しくは案内ページを見ていただくことにして、作った動機を一口でいうと、そろそろ飽きてきて、新しいことをはじめたくなったということです。
メールマガジンにどんな可能性があるのかわかりませんが、わからないから面白いという部分があります。そうそう時間を割けないので、WWW版の使い回しが多いですが、やっていくうちに別の切り口を発見するかもしれません。
ほら貝創刊三周年記念アンケートの結果を報告します。回答数は一周年が 14、二周年が 20でしたが、今回はひじょうに少なく、わずか 8でした。一昨年11月の総アクセス数 1049、昨年は 1878でした。今年は「月刊ほら貝」が中村正三郎氏のページで紹介されたこともあってか、4175までいったのですが(1000くらいは中村ページからの来訪者でしょう)、一見さんが多かったということでしょうか。かなり寂しい状況です。
統計的意味は怪しいですが、集計結果の発表です。
1.性別
男性 #######
女性 ##
昨年(↓)より、さらに女性が減っています。
男性 #################
女性 ###
2.年齢
10代
20代 #
30代 #######
40代 #
50代
不明
ほとんどが30代ですが、昨年と比較すると、回答した年齢の幅がせばまっただけかもしれません。
10代
20代 ########
30代 ########
40代 ####
50代
不明
3.どこでほら貝を知りましたか?
「オーディン」などのサーチエンジン #
「Yahoo」などの企業系リンクページ ###
「大森望のSFページ」などの個人ページ #
「西角演劇ページ」などの演劇サイト
文字コード関連ページ #
雑誌・書籍の紹介 #
友人から聞いて #
その他 #
年齢の固まり具合とは対照的に、ずいぶん散らばっています。多少は意味があるのでしょうか。昨年と比べると、文字コード関連で知ったという方が減っているようです。
「オーディン」などのサーチエンジン ####
「Yahoo」などの企業系リンクページ ####
「大森望のSFページ」などの個人ページ ##
「西角演劇ページ」などの演劇サイト
文字コード関連ページ ####
雑誌・書籍の紹介 #
友人から聞いて ##
その他 ##
4. ほら貝をいつ知りましたか?
[95年] #
[96年 1〜 6月] ##
[96年 7〜12月] ##
[97年 1〜 6月]
[97年 7〜12月] #
[98年 1〜 6月] ##
[98年 7〜11月]
[不明] #
これもずいぶん散らばっています。昨年も傾向は同じでした。
[95年]
[96年 1〜 6月] #####
[96年 7〜12月] #####
[97年 1〜 6月] #####
[97年 7〜11月] ####
[98年 7〜11月] #
[不明] #
5. どれくらいの頻度で来訪していますか?
[はじめて] #
[年に 1回]
[年に 2〜4回]
[年に5〜10回] ##
[月に 1回] ##
[月に2〜3回] #
[週に 1回]
[週に2〜3回] #
[毎日] ##
意外な結果です。ずっといなかった「毎日」という方がお二方いました。読者が固定化しつつあるということでしょうか。
[はじめて] ##
[年に 1回] #
[年に 2〜4回]
[年に5〜10回] ##
[月に 1回] #####
[月に2〜3回] ######
[週に 1回] #
[週に2〜3回] ###
[毎日]
6. どのページの充実を一番望みますか?
[作家と語る]
[石川淳] #
[安部公房] #
[批評]
[SF] ##
[演劇]
[映画]
[書評] #
[読書日記]
[ホットリスト] #
[サロン]
[文字コード] ###
[電房具案内]
あいかわらず「文字コード」が多いですが、SFの要望が増えたのは意外です。来年はSFのコンテンツを増やしましょう。
[作家と語る] #
[石川淳] ###
[安部公房] ####
[批評] #
[SF]
[演劇]
[映画]
[書評]
[読書日記] #
[ホットリスト] #
[サロン]
[文字コード] #########
[電房具案内]
7. 「月刊ほら貝」に希望する記事(複数回答可)
[更新情報] ####
[書評] ####
[映画評] ###
[演劇評]
[文芸時評] ##
[電脳関連エッセイ] ####
[文芸関連エッセイ] ###
[ほら貝案内] #
というわけで、ご協力、ありがとうございました。
12月17〜19日の三日間、早稲田大学でおこなわれた ICMTP'98(マルチリンガルテキスト処理 国際シンポジュウム)に行ってきました。
英語が基本で、ウィグル語や中国語の発表もありましたが、日本語ではなく英語の通訳がつきました。発表内容をどこまで理解できたかあやしいですが(初日は頭がウニになりました)、二日目、三日目になると、比較的少人数のシンポジュウムだったこともあって、レセプションや休憩時間に中味の濃い話を聞くことができました。詳しくは近々、「文字コード問題特設ページ」にレポートを出しますが、ひじょうに啓発されました。
海外からチベット語やタイ語、ラオス語、ダイ語、雲南少数民族の諸言語の研究者、ウィグル語のシステム開発者が来日し、さらに早稲田に留学中のモンゴル族のシステム開発者が参加しました。多言語処理の問題で、これだけの顔ぶれがそろったのは世界的にも例がないそうです。
アラビア文字やチベット文字、モンゴル文字、タイ文字をネイティブ・スピーカーがさらさらっと書くところをはじめて見ました。アラビア文字は本当に右から左に書いていました。ああいう不思議な文字はどんな風に書くんだろうとずっとひっかかっていたのですが、筆記体で英語を書くのと同じです。当り前といえば当り前ですが。
上記の文字はまだ本で眺めたことがあったので、文字に見えるんですが、雲南の少数民族(少数といっても、オランダやスウェーデンくらいの人口はある)の文字となると、子供の落書にしか見えませんでした。しかし、仏典の翻訳のために作られた数百年の歴史のある文字だそうです。欧米人の目に映る漢字も、あんな風なのかなと複雑な心境でした。
早稲田の構内はイチョウの葉が一面に散り敷いて、学校らしい雰囲気でした。昔は内ゲバ事件の余波で殺気立っていて、学問の場所という感じではおよそなかったんですが、最近はアイドルが入学するようなところになったそうで、変わったものです。写真週刊誌のカメラマンが出没するようになる日も近いでしょう。
初日と二日目は安部球場跡の国際会議場でやったのですが、最終日は小原研究室が進めている「国際化・多言語化テキスト処理プロジェクト」のデモのために、理工学部の57号棟に移りました。
玄関ホールにはいると、なにやら怪しげな機械が二台、鎮座ましましています。腰から下だけの方はホンダに先駆けて二足歩行に成功した歩行ロボット(写真右)、一つ目小僧の方は楽譜を画像解析して、エレクトーンを弾く演奏ロボットだそうです(写真下)。こういうゴツイ機械は想像力を刺激していくれますが、指導教授の定年で、もう開発はしていないそうです。動いているところを見たかったですね。