映画ファイル  March - April 2001

加藤弘一
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July 2001

*[01* 題 名<] マレーナ
*[01* 原 題<] Malena
*[02* 製作年<] 2000
*[03*   国<] イタリア
*[05* 監 督<] トルナトーレ,ジュゼッペ
*[05* 原 作<] ヴィンセンツォーニ,ルチアーノ
*[08* 出 演<]ベルッチ,モニカ
*[09*    <]スルファーロ,ジュゼッペ
*[10*    <]フェデリコ,ルチアーノ
*[11*    <]ノタリアーニ,ピエトロ
*[12*    <]アロニカ,ガエタノ

 舞台は1940年のシチリア。戦争で物資の乏しい中、12歳のレナートは中古の自転車を買ってもらう。背伸びしたい盛りのレナートは悪ガキに仲間いりして、町で噂の美女、マレーナを見にいく。

 マレーナの登場が最初の山場。真っ青な空と赤茶けたシチリアの町を背景に、漆黒の髪の彼女が身体の線の出た白いワンピースで歩く姿をカメラは舐めるように追っていく。歩くたびにガーターの突起が白い布ごしに盛りあがるところなど、「わらの犬」の冒頭を意識しているのだろう。

 マレーナは厳格な文法教師の一人娘だったが、新婚二週間で夫が出征したために、悪ガキだけでなく、町中の男の興味の対象になっていて、当然、女たちには評判が悪い。なにをしたわけでもないのに、ふしだらと噂され、それが悲劇の伏線になる。

 レナートはマレーナに夢中になり、物陰から彼女を見るだけではあきたらず、家を覗くなどストーカーまがいの行動に走るが、憧れとして描いているので、ほほえましいという印象の範囲におさまっている。

 マレーナの夫の戦死が伝えられると、彼女とは関係のないところで、噂が肥大していく。ついには父親から勘当され、生活に困って身を売るようになり、ドイツ将校のホテルに出入する。

 ドイツ軍撤退後、町の女たちはマレーナをリンチする。「二十四時間の情事」もそうだったが、この種のリンチはいたるところでおこなわれたのだろう。

 髪を丸刈りにされ、痣だらけになったマレーナは町を去っていくが、その後、死んだはずのマレーナの夫が復員してくる。

 彼はマレーナの行方をさがすが、町の人間は誰も本当のことを語ろうとしない。レナートは自分が目撃してきた事実を手紙に書き、彼はついにマレーナと再会する。

 マレーナは夫とともに町にもどってくる。市場にあらわれると気まずい緊張が生まれるが、リンチにくわわった女が服を贈ったのをきっかけに和解する。

 戦争未亡人と思春期の少年というから、「思い出の夏」のような映画を予想していたが、「青い体験」の線だった。格調高い映像と情緒過多の音楽、下世話な艶笑譚と戦時下の女性の悲劇がごった煮になっている。モニカ・ベルッチの魅力も、たぐいまれな美貌の下に秘めた女のたくましさにあるだろう。これぞイタリアだ。

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*[01* 題 名<] ハムナプトラ2 黄金のピラミッド
*[01* 原 題<] The mummy returns
*[02* 製作年<] 2000
*[03*   国<] 米国
*[05* 監 督<] ソマーズ,スティーヴン
*[08* 出 演<]フレイザー,ブレンダン
*[09*    <]ワイズ,レイチェル
*[10*    <]ベラスケス,キャサリン
*[11*    <]ヴォスルー,アーノルド
*[12*    <]ハナ,ジョン

 アナクスナムンの生まれかわりのミラ(ベラスケス)という女性が暗躍し、結婚して英国に帰ったリック・オコーネル(ブレンダン)とエヴリン(ワイズ)をエジプトの冒険に連れもどす。アラビア文字男も健在で、ロンドンにあらわれ、クライマックスでは一族を率いて、骸骨軍団と一戦をまじえる。

 古代エジプトのコスチュームのイメージが強烈だったベラスケスが現代の衣装で出てくるのは異和感がなくはないが、エヴリンが王女ネフェルティティの生まれかわりだとわかり、前世の場面ではエジプトの薄物で登場し、父王の前でアナクスナムンとちゃんばらを披露。こういう御都合主義は歓迎する。

 前作よりスケールアップしているが、例によってあれもこれも詰めこみすぎ。最初から最後までアドレナリン全開は疲れる。

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*[01* 題 名<] ゴシップ
*[01* 原 題<] Gossip
*[02* 製作年<] 2000
*[03*   国<] スウェーデン
*[05* 監 督<] ナトリー,コリン
*[08* 出 演<]アウグスト,ペルニッラ
*[09*    <]ベリストレム,ヘレーナ
*[10*    <]エンドレ,レーナ
*[11*    <]エークブラード,スティーナ
*[12*    <]ラーゲルクランツ,マリーカ
*[13*    <]ロイテル,スザンヌ
*[14*    <]リカルドソン,マリー
*[15*    <]レール,グニッラ
*[16*    <]クローク,マルガレータ
*[17*    <]アンデション,ハリエット

 グレタ・ガルボの『クリスチナ女王』をリメイクすることになり、スウェーデンを代表する九人の女優がハリウッドに呼ばれ、オーディションを受ける。誰が世界進出のチャンスをつかむか、スウェーデンの全マスコミが注目する中、発表の日をむかえる。その24時間を追った映画だが、40歳の誕生日をむかえて鬱になる女、シングル・マザーとして出産する女、レスビアンの女等々、エピソードがてんこ盛りになっている。

 狭い芸能界のことだから、ある女優の夫が別の女優の元夫だったり、愛人だったりして、人間関係がこみいっている上に、ただでさえ我の強い女優が我のつっぱりあいをするわけで、舞台ものとは別の密室感があり、途中で頭が痛くなってきた。五人か、せいぜい七人にしておいてくれればよかったのだが、九人は多すぎる。

 なかなか発表がなく、真夜中近くなって、九人のうちの八人がパーティに集まるが(一人は出産で入院)、いよいよ決まってみると、クリスチナ王女役はマドンナだったという落ちがつく。

*[01* 題 名<] 千と千尋の神隠し
*[02* 製作年<] 2001
*[03*   国<] 日本
*[05* 監 督<] 宮崎駿
*[08* 出 演<]柊瑠美
*[09*    <]入野自由
*[10*    <]夏木マリ
*[11*    <]菅原文太
*[12*    <]玉井夕海

 引っ越しの途中、バブル崩壊で廃虚と化したテーマパークを見つけた一家が、異世界に迷いこむ。父(内藤剛士)と母(沢口靖子)は勝手に売店のものを食べたために、
豚に変えられるが、千尋(柊)は童形のハク(入野)という少年に導かれて、油屋という神々のための風呂屋に逃げこみ、湯婆々(夏木)に許されて、住こで働くようになるが、本当の名前を奪われ、千と呼ばれるようになる。

 千が自分の名前をとりかえし、両親とともに元の世界にもどるまでの冒険物語だが、レトロな世界に目も彩な妖怪が次々と登場する前半はただただ圧倒される。

 後半では、ハクを救うために、湯婆々の姉の銭婆のもとにおもむくが、にぎやかな前半とは打って変わった、もの寂しい情景がつづく。静まりかえった海面を走る電車のイメージにはうなった。この転調はみごととしか言いようがない。

 網野史観の絵解きの観のあった「もののけ姫」よりも、はるかに完成度が高く、しかもおもしろい。時間をおいてから、もう一度見たい。

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August 2001

*[01* 題 名<] ジーザスの日々
*[01* 原 題<] La vie de Jésus
*[02* 製作年<] 1997
*[03*   国<] フランス
*[05* 監 督<] デュモン,ブリュノ
*[08* 出 演<]ドューシュ,ダヴィッド
*[09*    <]コットレール,マージョリー
*[10*    <]コットレール,ジュヌヴィエーヴ
*[11*    <]シャトゥーフ,カデール

 ルナンの『イエスの生涯』に触発され、「二十世紀末のモダンなキリスト」を描こうとしたというのだが、どこがイエスなのか、さっぱりわからない。主人公のフレディ(ドゥーシュ)は弱者を思いやるどころか、悪ガキ仲間とブスの女の子を人前で裸にしたり、アラブ人の少年を殴り殺してしまうのだ。しかも、まったく反省していない。

 しかし、イエス云々を離れるなら、傑作である。

 舞台はバイユールという北仏の田舎町の初夏から秋。フレディは失業青年で、スナックをやっている母親に養われている。癲癇の持病があり、セックスの後、恋人のマリー(コットレール)がビデを使っていると発作を起こして、母親が介抱に来る。母親べったりのマッチョは不気味だ。

 都会にあこがれているが、あこがれるだけで、なにもしない。小鳥の鳴き声コンクールに出たり、地元のブラスバンドに参加したり、マリーとところかまわずセックスしたり、悪ガキ仲間と原チャリで暴走したりして憂さを晴らすだけなのだ。不完全燃焼のエネルギーがマグマのようにたまっていき、何かが起こりそうな予感がつのってくる。

 はたして、ブラスバンドの演奏会の後、ブスの女の子を仲間ととりかこんで丸裸にしてしまう。女の子の父親はフレディの母親のスナックに怒鳴りこんできて、フレディは母親に怒られ、マリーにも愛想をつかされる。

 田舎町にもアラブ人が住み、差別されていて、アラブの若者だけでつるんでいる。その中の一人、カデールがマリーに言い寄ってくる。マリーは無視していたが、フレディと仲たがいした後、町はずれで二人だけで会ってしまう。

 仲間からマリーがアラブ人とつきあっていると知らされたフレディは、カデールを仲間とともに拉致し、畑の中で殴り殺す。事件は発覚し、フレディは警察に逮捕されるが、なぜかすぐに釈放される。

 出演者は全員素人だという。フレディ役のドゥーシュは「ルシアンの青春」の主役に通ずる、ざらざらした存在感がある。

 「ルシアンの青春」からの連想だが、マリーのコットレールはオーロール・クレマンを思わせる線の細い美人で、フレディとの激しい濡場が痛々しい。

 マリーも含めて、アメリカのプア・ホワイトを思わせる、いじけた顔ばかりだが、カデールのシャトゥーフだけは活きた目をしている。

*[01* 題 名<] ユマニテ
*[01* 原 題<] Humanité
*[02* 製作年<] 1999
*[03*   国<] フランス
*[05* 監 督<] デュモン,ブリュノ
*[08* 出 演<]ショッテ,エマニュエル
*[09*    <]カネル,セヴリーヌ
*[10*    <]テュリエ,フィリップ
*[11*    <]ゲスキエール,ギスラン
*[12*    <]アレグレ,ジネット

 「ジーザスの日々」と同じく、バイユールを舞台に、全員素人を使った作品だが、季節は晩秋から冬で、田園風景は暗く重苦しい。

 鋤き返された畑が地平線まで広がっている。粘っこい黒土がうねうねとつづく中、カメラがパンしていくと、突然、ボカシがはいる。後の説明で、凌辱されて殺された少女の局部が映されていたとわかる。直後、登場人物の一人の顔がちらとはいるが、これが伏線になっている。

 主人公のファラオン・ド・ウィンテル(ショッテ)が捜査にあたることになる。バイユールの地方画家で、通りの名前にもなっている故ウィンテルの孫という設定で、妻に逃げられたために、ウィンテル通りの家で母親と二人で暮らしている。美術館でイエスを描いた宗教画に見いるなど、刑事とは思えない繊細な心の持主で、隣家のドミノ(カネル)に引かれている。

 ドミノにはバスの運転手をしているジョゼフ(テュリエ)という恋人がいて、ファラオンはデートにつきあわないかとファラオンに誘われると、三枚目になるのを承知でついていってしまう。ファラオンの部屋にいこうとして、二人のセックスを見せつけられたこともある。「ジーザスの日々」のマリーは繊細な美人だったが、ドミノ役のカネルはフランケンシュタインのような大柄で無愛想な女だ。セックス場面は肉弾相撃つ迫力で、こういう女だから、ファラオンの前で突然、パンツを脱いで迫ってきても、意外ではない。

 一応、刑事ということになっているが、ファラオンは捜査らしい捜査をまったくしない。現場の近くをTGV(フランスの新幹線)が走っているので、乗客に目撃者がいないか探すとか(なんと目撃者がいて、英国まで聴取にいくが、無駄足で終わる)、精神病院で初対面の看護人と突然抱きあうとか、わけのわからないことばかりやっている。

 田舎町の鬱々とした生活を粘っこく追っていくうちに、ラストになって、突然、ジョゼフが真犯人とわかる。ファラオンはジョゼフを抱きしめ、悲嘆にくれるドミノを抱きしめる。

 無茶苦茶な結末であるが、ファラオンの粘っこい存在感で、強引に納得させられてしまう。支離滅裂な映画だが、これも傑作のうちだろう。

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*[01* 題 名<] 釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇
*[02* 製作年<] 2001
*[03*   国<] 日本
*[05* 監 督<] 本木克英
*[08* 出 演<]西田敏行
*[09*    <]三國連太郎
*[10*    <]宮沢りえ
*[11*    <]青島幸男
*[12*    <]谷啓

 鈴木建設生えぬきの高野常務(青島)が故郷の萩に引っこんで、晴耕雨読、釣り三昧の生活を送ると言いだす。鈴木社長はおもしろくない。山口出張に浜崎を同行し、現場復帰を説得に萩にいくが、高野は入院中だったという展開。

 高野は生気の抜けた、見るからに終わった男で、青島は期せずしてはまり役である。

 高野の世話をする姪のこずえは宮沢。久々に見るが、依然として病み上がり状態。しかし、あでやかではある。

 高野が急死し、浜崎は仕事を放りだして萩にかけつける。鈴木社長の同志に向かって語りかける弔辞は感動的だ。今回、三國は影が薄かったが、最後に存在感を示した。

 散骨の舟で釣りをはじめずにおれぬクレージーぶりはくどいが、このくどさがないと浜ちゃんにならない。

 浜崎は12日ぶりに出社するが、無断欠勤だったために、査問に呼びだされる。文句ばっかりいている佐々木課長(谷啓)は、今回は浜崎に同情し、いっしょに査問の場に乗りこんでいく。

 佐々木は定年間近だが、退職金を自由に使えそうになく、四国のお札所巡りをしながら死んでしまおうかなどと、厭世的になっている。浜崎と一緒にやめるつもりなのだ。多分、次回、課長役が交代になるので、谷に花を持たせたのだろう。

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*[01* 題 名<] PLANET OF THE APES/猿の惑星
*[01* 原 題<] The planet of the Apes
*[02* 製作年<] 2001
*[03*   国<] 米国
*[05* 監 督<] バートン,ティム
*[05* 原 作<] ブール,ピエール
*[08* 出 演<]ウォルバーグ,マーク
*[09*    <]カーター,ヘレナ・ボナム
*[10*    <]ロス,ティム
*[11*    <]
*[12*    <]

 ティム・バートンによるリメイクだけに、パロディに近い。時代が複雑になって、もうパロディとしてしか成立しない話になってしまったわけだ。

 磁気嵐調査のために、遺伝子改造で知能を高めたチンパンジーを宇宙艇に乗せて送りこむが、任務を猿に奪われてくさっていたレオ(ウォルバーグ)は、自ら宇宙艇に乗りこんで発進するが、異空間にまぎれこみ、未知の惑星に不時着する。ジャングルで人間狩りに巻きこまれ、猿につかまって、都市に連行される。

 ここで出会う元老院議員の娘で人類愛護主義猿がヘレナ・ボナム・カーター。みごとに化けていて、まったく本人の面影がない。それが幸いして、繊細で理知的なよさが出ている。このところ、汚れ役というか、変な役が多いが、こんな魅力的な女優だったのかと再認識する。

 伝説の猿の直系で、武闘派のセート将軍はティム・ロス。こちらもみごとにマッチョに変身している。

 猿の聖地、カリバでのクライマックスは、「風の谷のナウシカ」にちょっと似ている。

 設定はすぐにわかったが、セートの彫像がワシントンに鎮座しているという落ちまでは見抜けなかった。アメリカ国家神話において、リンカーンは中興の祖なのだ。

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*[01* 題 名<] ジュラシック・パーク3
*[01* 原 題<] Jurassic Park 3
*[02* 製作年<] 2001
*[03*   国<] 米国
*[05* 監 督<] 
*[08* 出 演<]ニール,サム
*[09*    <]ダーン,ローラ
*[10*    <]ウィリアム,メイシー
*[11*    <]レオーニ,ティア
*[12*    <]モーガン,トレヴァー

 サム・ニールとローラ・ダーンが再登場するが、ローラ・ダーンの出番はすくない。

 大富豪の夫婦がありきたりの旅行は飽きたので、サイトBの上を飛ぶ許可を特別にとった。研究費を寄付するから、ガイドをしてくれないかとサム・ニールにもちかける。彼は助手とともに話に乗るが、実はタイル屋のオヤジと、その元妻で、彼女の婚約者といっしょにサイトBで行方不明になった息子を救出するために、無許可で島に降りるという展開。予想通りのハッピーエンドになる。

 翼竜が今回の売りで、技術的には進歩しているようだが、もう最初の驚きはない。

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*[01* 題 名<] 第七官界彷徨 尾崎翠を探して
*[02* 製作年<] 2001
*[03*   国<] 日本
*[05* 監 督<] 浜野佐知
*[05* 原 作<] 尾崎翠
*[08* 出 演<]白石加代子
*[09*    <]吉行和子
*[10*    <]宮下順子
*[11*    <]柳愛里
*[12*    <]宝井誠明

 浜野監督の「百合祭」という新作の公開イベントで見た作品で、客席はフェミニスト風の女性が多かった。浜野監督は女流ポルノ監督として有名らしいが、「百合祭」は老婆ばかりが住んでいる家に、ミッキー・カーチス扮する老人が転がりこみ、恋のさやあてがはじまるという話だそうで、本音は女性映画が作りたいのだろう。

 「第七官界彷徨 尾崎翠を探して」も女性の視点から作られている。この映画は「第七官界彷徨」、尾崎翠の伝記、この二つを結ぶ女の子ばかりのクィア・パーティという三つの糸をないあわせているのだ。

 クィア・パーティ部分は白けた。女性ロックバンドや元トゥナイト・レポーターの女の子を出したり、少女マンガのキャラクターに扮装したおじさんに踊らせたりしているが、ノリが悪く、見ていて恥ずかしくなった。こういうパーティに出る今風の女の子でも、尾崎翠に興味をもつということを伝えたかったのだろうが、なれないことはしない方がいい。

 「第七官界彷徨」部分はよく出来ている。ユーモラスなモダニズムの作品なので、現代に置き換えようと思えば置き換えられるが、原作通り、昭和初年にしたのが成功している。低予算スタジオ撮影見え見えなのだが、戦前の日本のひもじさの感覚がにじみでていて、尾崎の文章を生かしたクラシックな台詞とあいまって、リアリティがある。小野町子の柳ら役者たちは、若いにもかかわらず、脂気の抜けた清潔感がある。

 伝記部分は、尾崎が生まれ、死んだ鳥取の風土が見られればぐらいの気持ちで見たのだが、予想を超える出来で、すばらしかった。尾崎の葬儀から若い日の東京時代へ時間を遡っていく作りで、一部に難解という評価があったそうだが、「なぜ、これほどの作品を書いた人が田舎に埋もれたまま、寂しく死んでいったのか」という謎解き的な興味があるので、最後まで引きつけられる。

 尾崎翠の白石加代子の存在感が圧倒的である。豪快なさばさばした婆さんだが、これからという時に筆を折った無念が時に表面化する。尾崎を支えつづけ、戦中・戦後も唯一人連絡をとりあっていた松下文子の吉行和子もいい。林芙美子は宮下順子で、いかにも海千山千という感じ。林芙美子はライバルを蹴落とすために、ずいぶんあくどいことをやったが、尾崎翠だけはよく書いている。もちろん、尾崎が勝負を降りて、自分の立場をおびやかす心配がないからだろうが。

 ただし、尾崎と同棲した高橋丈雄に原田大二郎をあてたのはどうか。高橋は尾崎より10歳下で、尾崎が錯乱した時、25歳だった。原田では、どう演技しても、めんどくさい女を放りだしたという印象になってしまう。「第七官界彷徨」部分で三五郎をやった、頼りない感じの役者あたりがよかったのではないか。

August 2001

*[01* 題 名<] 愛のエチュード
*[01* 原 題<] The Luzhin Defence
*[02* 製作年<] 2000
*[03*   国<] 英国
*[05* 監 督<] ゴリス,マルレーン
*[05* 原 作<] ナボコフ,ウラジミール
*[08* 出 演<]タトゥーロ,ジョン
*[09*    <]ワトソン,エミリー
*[10*    <]ジェームス,ジェラルディン
*[11*    <]ウィルソン,スチュアート
*[12*    <]ブリス,ピーター

 ナボコフ原作のチェス映画(原作の『ディフェンス』は後で読んだ)。

 気持ちの悪い邦題がついているが、チェス用語の「エチュード」(詰め将棋)にひっかけてあるという。「愛の詰め将棋」なら、関係ないこともない。

 1929年、コモ湖畔に向かう列車に貧相な身なりのアレクサンドル・ルージン(タトゥーロ)と、ナターリア・カトコフ(ワトソン)とその母(ジェームス)が乗りあわせている。駅に着くと、楽隊が待っていて、ルージンを大層に迎えている。彼は著名なチェス・プレイヤーで、高級リゾートホテルで開かれるチェスの世界大会の優勝候補なのだ。

 カトコフ母娘はチェス大会の開かれるホテルに宿泊し、食堂で居心地悪そうにしているルージンを見かける。母親はチェス・プレイヤーなどといういかがわしい人種に露骨に顔をしかめ、男ぶりのいいササール伯爵(クリストファー・トンプソン)にナターリアを近づけようとするが、ナターリアはルージンに興味をもちはじめる。

 鬱蒼とした大木の下の散歩道で二人がはじめて言葉をかわすシーンは美しい(ヴィスコンティの別荘?)。これぞナボコフである。

 ナボコフらしいといえば、ペテルブルクのルージン邸の回想場面もそうだ。邸は暗く、冷たく、父母の仲も冷えきっている。ただ一人、父方の美しい叔母が生気を放っているが、母親は嫉妬の眼を向けている。

 ルージンはチェスに夢中になって、学校から退学を勧告される。父親はチェスを禁ずるが、それぐらいでひるむルージンではない。

 やがて、彼の評判を聞いたヴァレンチノフ(ウィルソン)が父のもとを訪れ、チェス・プレイヤーとして育てたいと申しでる。ルージンはヴァレンチノフに連れられてロシアを離れ、各地を転戦して歩くが、体のいいサーカス少年ではないか。

 ルージンは精神的な弱さからか、あと一歩のところでタイトルをとることができない。ヴァレンチノフはルージンに見切りをつけ、チェス以外、子供同然の彼を異国の街に放りだしてしまう。

 そのヴァレンチノフは大会に来ていて、ルージンの優勝を妨害しようと謀略をめぐらしている。

 ルージンはナターリアに結婚を申しこみ、ナターリアは承知する。母親は驚き、あきれ、夫を呼んで、思いとどまるように説得するが、ナターリアは頑として聞かず、ついに許さざるをえなくなる。

 ルージンは精神的な動揺で勝てる勝負を落とすが、その後は順調に勝ち進み、イタリアのトゥラチとの決勝戦に臨む。勝負は白熱し、ルージン守勢のまま、時間切れになり、翌日にもちこされる。

 ルージンは自室にこもり、ついに勝てる手筋を発見する。だが、優勝の栄光とナターリアとの結婚を手にしようとする直前、事態は急展開する。

 ストーリーさばきがうまくないので、後半がごたごたしたのは残念だが、ルージン役のタトゥーロ、ナターリア役のワトソンの二人はいい。

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*[01* 題 名<] A.I.
*[01* 原 題<] A.I.
*[02* 製作年<] 2000
*[03*   国<] 米国
*[05* 監 督<] スピルバーグ,スティーブン
*[05* 原 作<] オールディス,ブライアン
*[08* 出 演<]オスメント,ハーレイ・ジョエル
*[09*    <]ロウ,ジュード
*[10*    <]オーコナー,フランシス
*[11*    <]ロバーズ,サム
*[12*    <]ハート,ウィリアム

 スピルバーグはともかく、原作オールディス、企画キュブリックに引かれて見てみたが、期待はずれ。

 サイバートロニクス・マニュファクチャリング社は感情を持ったロボットを開発し、一人息子を難病で冷凍保存している従業員夫婦がモニターに選ばれる。母親(オーコナー)は抵抗をおぼえながらも、デビッド(オスメント)にパスワードを読みあげ、自分の子供にするが、実の息子が奇跡的に蘇生し、デビッドはいじめだされる。母親は廃棄処分するにしのびず、デビッドを森に放し、野良ロボットにしてしまう。

 デビッドはロボット狩りにつかまるが、殺人事件に巻きこまれて逃亡中のジゴロ・ロボットのジョー(ロウ)と知りあい、窮地を脱する。デビッドは妖精に本物の人間の子供にしてもらえば、ママと再会できると信じていて、妖精をもとめて水没したニューヨークに向かう。そこにいたのはデビッドを作った博士(ハート)で、デビッドは博士の死んだ息子に似せて作られていたことがわかる。

 デビッドは博士を信じず、妖精を探して、水面下のニューヨークにヘリコプターで潜る。コニーアイランドの廃墟で妖精の人形を見つけるが、ヘリコプターは折れた柱の下敷きになり、デビッドは水中に閉じこめられてしまう。

 数千年後、地球を訪れた異星人(ロボット?)はデビッドを発見し、失われた人類文明の情報を引きだす。

 こういう話はパターンができているので、しょうがないが、あそこはどこのパクリ、こっちはどこのパクリと気になってしまう。手がかかっている分、嘘臭い。素朴で退屈な「アンドリュー NDR114」の方が好ましい。

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*[01* 題 名<] ブロウ
*[01* 原 題<] Blow
*[02* 製作年<] 2000
*[03*   国<] 米国
*[05* 監 督<] デミ,テッド
*[05* 原 作<] ポーター,ブルース
*[08* 出 演<]デップ,ジョニー
*[09*    <]クルス,ペネロペ
*[10*    <]グリフィス,レイチェル
*[11*    <]リオッタ,レイ
*[12*    <]ルーベンス,ポール

 麻薬王ジョージ・ユング(デップ)の実話だそうで、最後には服役中のユング本人が顔を出す。

 ジョージはボストンで暖房工事の工務店を経営する勤勉な父親(リオッタ)と、虚栄心の強い母親(グリフィス)に育てられたが、父親の工務店は倒産し、真面目に働くのは馬鹿らしいと思うようになる。

 ジョージはカリフォルニアに移住し、マリファナの流行に目を見張る。彼はマリファナを禁欲的な東海岸に運ぶことを思いつき、最初の妻となるスチュワーデスに運ばせる。そこそこの成功をおさめるが、妻が急死してから、ケチがつき、警察に追われる破目に。実家にもどったところで、母親に密告される。

 刑務所でコロンビア人と知りあったのを機に、メデジン・カルテルとコネができ、マリファナ以来のつきあいのデレク(ルーベンス)を通じて、最高級のコカインをハリウッドに流し、巨万の富を手にいれる。

 得意の絶頂のジョージはシンジケート仲間の婚約者、マーサ(クルス)を奪って再婚。娘のクリスティーナが生まれるが、相棒に裏切られ、運命が暗転する。

 麻薬ビジネスから足を洗ったものの、パナマのノリエガ銀行に預けてあった三千万ドルが没収され、経済的に逼迫する。マーサと仲たがいし、警察に売られる。

 クリスティーナとカリフォルニアに移住するために、最後の山を踏むが、警察のおとり捜査で、懲役60年の判決を受ける。

 老いたジョージは娘との再会だけを夢見て余生を送っているが、娘は一度も面会に来てくれない。

 母、妻、娘に裏切られたさびしい男の話で、デップは適役といえる。ポスターは優雅に寝そべったペネロペ・クルスだが、彼女は金がすべての薄情女の役で、出番もすくない。

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*[01* 題 名<] フリーズ・ミー
*[02* 製作年<] 2001
*[03*   国<] 日本
*[05* 監 督<] 石井隆
*[08* 出 演<]井上晴美
*[09*    <]北村一輝
*[10*    <]鶴見辰吾
*[11*    <]竹中直人
*[12*    <]松岡俊介

 石井隆お得意のレイプもの。

 出勤しようとしたちひろは、マンションの玄関で、かつて自分を輪姦した幼なじみの広河(北村)と出くわす。彼女は自室に逃げこむが、広河に押し入られ、レイプされる。

 広河がいすわっているので、ちひろは恋人の野上(松岡)と同棲するようになるが、広河は会社に押しかけてきて、乱暴狼藉。彼女は馘になる。

 恋人は心配して訪ねてくるが、広河から高校時代に回された過去を告げられると、こそこそと帰ってしまう。追いつめられたちひろは風呂に入っていた広河を撲殺。死体を冷蔵庫にいれる。

 ちひろは皿洗いのバイトをはじめるが、輪姦に加わった小島(鶴見)が広河を探してやってくる。小島は粗暴な広河と違って卑屈で陰険で、酒癖が悪い。ちひろは小島も撲殺し、大型冷凍庫を二台買って、二人を詰める(箱にはっきりと日立の名前。さすがに協賛ではなかった)。

 バイト暮らしのちひろはマンションから木造アパートに引っ越す。二台の大型冷凍庫もいっしょにもっていくが、輪姦の首謀者のヤクザの馬場(竹下)があらわれる。ちひろは今度も撲殺する。

 三台目の冷凍庫に詰めるが、ブレーカーが飛んでしまう。冷凍庫を三台動かしつづけるには、エアコンはおろか、冷蔵庫も、ガスも切らなければならない。

 ちひろは死体のはいった冷凍庫に製氷皿やアイスノンをいれ、時々冷凍庫をあけ、ては冷気で涼みながら、死体に話しかける。

 野上が再び訪ねてくる。ちひろは冷凍庫を一時切り、エアコンをかけ、シャワーを浴び、精一杯おめかしして、彼を部屋に入れる。抱きあった後、恋人は臭うという。部屋を嗅ぎまわり、死体を発見する。ちひろは野上も撲殺する。

 井上晴美は演技以前だが、オンザロック片手に、脳天気に死体に語りかけるノリは悪くない。もともと荒唐無稽な劇画調なので、演技力欠如がサイボーグ的肉体美ともどもプラスに働いているのだ。

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*[01* 題 名<] 非・バランス
*[02* 製作年<] 2001
*[03*   国<] 日本
*[05* 監 督<] 冨樫森
*[05* 原 作<] 魚住直子
*[08* 出 演<]派谷恵美
*[09*    <]小日向文世
*[10*    <]はたのゆう
*[11*    <]原田美枝子
*[12*    <]中村桃花

 思春期の女の子がオカマのオジサンと出会って、精神的な危機を乗り越えるという話だが、オカマの菊ちゃんは原作ではOLのお姉さんなのだそうである。無茶苦茶な脚色だが、菊ちゃん役の小日向文世がはまり役なので、多分、原作を超えている。

 仙台に住む中学一年生のチアキ(派谷)はホラー映画ファンで、ビデオを借りて帰る途中、都市伝説の「ミドリのオバサン」と出くわし、雨の中を逃げてくる。

 翌日、デパートで中年の脂気の抜けたオジサン(素面の時のオカマさんはまさにこんな感じだ)に声をかけられ、前夜落とした財布を返してもらう。このオジサンが菊ちゃんで、バーを経営している現役のオカマである。

 チアキはクールに生きるという生活方針を決め、友達は一切作らないことにしている。教室では浮いているが、無理をして仏頂面を通している。クールとは裏腹の不器用さがほほえましい。チアキにとっては菊ちゃんは唯一の心を明かせる友達となる。 チアキがクラスメートに心を閉ざしているのは、小学校五年生の時、親友だと思っていたユカリ(中村)にいじめられたからだ。イジメの場面の記憶は今も甦ってきて、その度にチアキはユカリに無言電話をかける。

 夏休みの近いある日、ミズエ(はたの)が突然、教室の窓から飛びおりる。教室は三階だったが、ミズエは脚を折っただけですむ。チアキは教師に頼まれて、ミズエの様子を見にいく。自殺未遂前はそれほど親しくはなかったが、心に傷をもつ者同士、急速に親しくなっていく。

 チアキはミズエの病院をたびたび訪れるようになるが、ある日、菊ちゃんを見かける。菊ちゃんは恋人のマサヨシ(羽場裕一)が自動車事故で入院しているので、見舞いに来ていたのだ。

 マサヨシは妻子がいるのに、菊ちゃんを甘言でつって、食い物にしてきた男で、今度も事故をいいことに、連帯保証人にした菊ちゃんに借金を全部押しつけてしまう。菊ちゃんは借金取りに追われるようになり、店とアパートを滅茶苦茶にされ、ついに店は人手にわたる。

 チアキは滅茶苦茶にされた店を飾りつけ、菊ちゃんとマサヨシを呼ぶ。愛する人の前で歌いたいという菊ちゃんの夢をかなえるためだが、気まずく終わる。

 七夕の日、破産した菊ちゃんは緑色のコートをチアキに贈る。翌日、菊ちゃんのコートを着たチアキはユカリを小学校の校庭に呼びだし、イジメられてどんなにつらかったか、たまりにたまっていた感情を吐きだして、ユカリとつかみ合いの喧嘩をし、イジメで受けた傷を清算する。

 仙台という地方都市を舞台にしているので、ダサいが、ダサさがいい方に働き、ほっと息のつける映画になっている。時間の流れのゆるやかさもいい。東京を舞台にしたら、この映画のよさは生まれなかったろう。

 菊ちゃんの小日向がすばらしい。胴長短足、蒙古系の顔の格好悪いオカマさんなのだが、安心できる愛敬があり、チアキの派谷の直球勝負の演技をふんわり受けとめている。

 出番こそすくないものの、チアキの母(原田)は成熟した女の匂いを発散させて輝いている。

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*[01* 題 名<] コレリ大尉のマンドリン
*[01* 原 題<] Captain Corelli's Mandolin
*[02* 製作年<] 2001
*[03*   国<] 米国
*[05* 監 督<] マッデン,ジョン
*[05* 原 作<] ベルニエール,ルイ・ド
*[08* 出 演<]ケイジ,ニコラス
*[09*    <]クルス,ペネロペ
*[10*    <]ハート,ジョン
*[11*    <]ベール,クリスチャン
*[12*    <]パパス,イレーネ

 第二次大戦末期にギリシアのケファロニア島で起きた独伊衝突を背景に、イタリア将校と島の娘の純愛を描いた文芸映画。原作は有名だそうだ。

 ケファロニア島は風光明媚な島で、山の頂上に精神障害者を集めて寝かせ、聖遺物を乗せた輿で治そうという祭でわきたったりするが、第二次大戦の影がおよんできて、島からも出生する若者があいつぐ。イアンニス医師(ハート)の娘のペラギア(クルス)が婚約したマンドラス(ベール)もその一人で、彼が配属された8000のギリシャ軍がアルバニアで1万4000のイタリア軍を撃退したという捷報がはいる。

 だが、ギリシアはドイツに降伏し、ケファロニア島にもイタリア軍が上陸してくる。イタリア軍は陽気で、進軍中にはやくも島の娘にちょっかいを出す始末で、島民から馬鹿にされる。市庁舎にコレリ大尉(ケイジ)が降伏勧告に行くが、市長はイタリア軍なんかに降伏できるかと意気軒昂。しかたなく、お目付役として同行しているドイツ軍の連絡将校のウェーバー大尉(デビッド・モリシー)が出向き、市の鍵を受けとる。

 コレリ大尉はイアンニス医師の家を宿舎にし、オペラ研究会の部下たちと大はしゃぎ。いくら実戦経験がないにしても、これでは戦争に勝てるわけがない。

 前半はイタリア軍のバカンス気分の日々をのんびり描いていくが、ペラギアはしだいにコレリ大尉に引かれていき、父のイアンニスもまんざらではない。彼は娘に医学の手ほどきをし、助手に使っていて、彼女がマンドラスのような無学な漁師と結婚し、平凡な母親になることを望んでいなかったのだ。

 一方、マンドラスは秘かに島にもどり、パルチザンを組織するが、ペラギアの変心を知る。三角関係だが、イタリアが降伏したために、その方には進まない。

 イタリア兵はこれで故郷に帰れると無邪気によろこぶが、ドイツ軍は収容所に送りこもうと画策している。

 コレリはマンドラスを通じてドイツ軍の企みに気づき、パルチザンに武器の一部を引きわたす。彼は武装解除の最中、部下がドイツ兵に殺されたのを機に、ドイツ軍と戦いの火蓋を切る。全面対決になるが、イタリア軍は上陸してきたドイツ軍にたちまち制圧され、9000の捕虜はことごとく虐殺される(34人しか生き残らなかったという)。

 コレリは部下が弾よけになってくれて、一命をとりとめ、マンドラスに救われ、秘かに島を脱出する。

 戦後、島は大地震に襲われ、多くの人命を失う。医者となったペラギアのもとにイタリアからペラギアに捧げたマンドリンのレコードがとどく。コレリと再会して、めでたしめでたし。

 ドイツが降伏したイタリアに宣戦布告したのは知っていたが、こんな事件まであったとは。前半ははしょっていいから、衝突にいたる経緯をきちんと描いてほしかった。

 ペネロペ・クルスはギリシャ娘には見えないが、魅力全開で悪くない。

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*[01* 題 名<] ラッシュアワー2
*[01* 原 題<] Rush Hour 2
*[02* 製作年<] 2001
*[03*   国<] 米国
*[05* 監 督<] ラトナー,ブレット
*[08* 出 演<]チェン,ジャッキー
*[09*    <]タッカー,クリス
*[10*    <]ローン,ジョン
*[11*    <]チャン,ツィイー
*[12*    <]サンチェス,ロセリン

 ジャッキー・チェンもクリス・タッカーも興味がなく、チャン・ツィイーだけを目当てに見たが、まったく期待はずれ。

 香港とラスベガスを舞台にした非日常お笑いアクションとしては、よくできている方かもしれないが、チャン・ツィイーがきれいにとれていないのである。

 黒服とこわばった表情で通すのもいただけないが、脚で蹴り上げるだけの一本調子のアクションは下策だ。

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Copyright 2001 Kato Koiti
This page was created on Sep30 2001.
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